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社説

温暖化対策と逆行も 高速道の原則無料化


 家庭でつくった太陽光発電の余剰電力を電力会社が従来の約2倍の価格で買い取る制度が今月からスタートした。政府は今後、さらなる自然エネルギー利用に 向け、風力や水力、地熱などで発電した電力の全量買い取り制度の検討を始めた。「2020年に1990年比で温室効果ガスを25%削減する」は鳩山首相の 国際公約だ。だが、地球温暖化対策と逆行しかねない政策も同時に進めようとしている。来年度から段階的に実施される高速道路の原則無料化だ。

 無料化されれば高速道路の利用は増え、自動車の二酸化炭素排出量は増える。加えてガソリン税に上乗せ徴収されている暫定税率も廃止の方向だ。そうなればガ ソリン価格は下がり、自動車利用に拍車がかかる。鉄道、バス、フェリーなどは減収となり、公共交通の経営は悪化する。本数の削減や路線、航路の廃止にもつ ながろう。バス会社などは高速バスの収益で乗客の少ない過疎路線を維持している。バスが頼りのお年寄りらは生活の足を奪われかねない。

 高速無料化に向け、国土交通省は10年度予算の概算要求に6千億円を盛り込んだ。鳩山内閣の行政刷新会議は概算要求の諸事業から、240事業を「仕分け候 補」に選び、事業存続、内容の見直し行っていく方針だ。子ども手当創設、高速無料化など民主党マニフェスト(政権公約)の目玉政策はその対象外であること は言うまでもない。

 高速道路会社の08年度料金収入は東日本、中日本、西日本の3社合わせて約1兆8200億円。国交省は来年度から一部区間で無料化の社会実験に取り組むが、6千億円を全額、料金収入の穴埋めに使うとすれば、3分の1のエリアを無料化できることになる。

 無料化の対象外となる首都、阪神両高速を除くと、全線無料化を実現するには毎年、1兆7千億円ほどを予算化すればよい計算だ。これまで建設費の償還、道路 施設の補修費、人件費などは利用者負担の料金収入でまかなってきた。無料化実施でこれらは納税者に転嫁されることになる。

 世論調査では高速無料化を評価すると答えた人は2割に満たず、6割近くが政策効果に疑問を投げかけた。守るべきはマニフェストであろうか。高速無料化の影響は大きい。

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