札幌の味噌(みそ)や博多の豚骨のように、日本全国にはその土地で長年愛されてきた独特のラーメン文化があるが、私たちが住む房総半島にも古くから愛されているラーメンがある。キリッとした醤油(しょうゆ)の味わいと香りが印象的なスープに刻み生タマネギ、さらに醤油でしっかりと煮込まれたチャーシューがたっぷりのるラーメンが「竹岡式」である。元祖の店が竹岡漁港にある「梅乃家」。元漁師だったという店主の坂口治敏さんは、亡き叔母が営んでいた店を引き継ぎ味を守っている。
梅乃家の最大の特徴、それは独特の製法にある。通常のラーメンの場合、豚骨や鶏ガラなどを煮てスープを作るが、梅乃家のスープはチャーシューを煮た醤油をお湯で割っただけ。しかも麺(めん)は生麺ではなく乾麺を一つずつ炭火を使い小鍋で茹(ゆ)でる。元々はラーメン専門店ではなく普通の食堂だったが、海から上がって来た漁師さんたちのリクエストにより、先代が独学でラーメンを出すようになったことからこのラーメンが生まれたのだ。
真っ黒いスープは一見濃そうに見えるが、一口すすればすっきりと飲みやすく、優しい甘みとコクがある。タマネギを追加で増すとさらに味わいが深くなる。麺はふっくら柔らかく茹でられていて、時間がたつごとにスープを吸い込みうま味が増す。チャーシューメンと見間違えるほどにたっぷりとのったチャーシューは、醤油の味がしっかりと染みて香ばしく柔らかだ。房総半島で半世紀以上も愛され続けるソウルフードを求めて、きょうも店の前には長い列ができる。
【交通】JR竹岡駅より徒歩20分。電話0439(67)0920。
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