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千葉ラーメンの達人たち

■プロフィール
山路 力也(やまじ・りきや)
フードジャーナリスト・千葉拉麺通信主宰。著書にラーメンマップ千葉5など多数。千葉市在住。


胡麻を生かした新たな一杯 拉麺阿修羅(船橋市湊町)


 ラーメンは作り手の数だけ味がある。それが面白さでもあり奥深さでもあるのだが、その中でも独創的な一杯を出している佳店が船橋の「拉麺阿修羅」である。店主の竹内雄大さんは名店「麺屋武蔵」の厨房(ちゅうぼう)を長年任されていたベテラン職人。独立開業にあたり名店の味も受け継げたはずだが、看板にすがることなく自らの味で勝負することを決めた。そんな店自慢の一杯が「胡麻(ゴマ)らーめん」だ。
 
 ゲンコツ、鶏ガラなどの動物系素材と魚節や煮干し、昆布、シイタケなどの和出汁素材を合わせ、そこにていねいに煎(い)った白胡麻をはじめ、練り、すり胡麻などスプーン8杯分もの胡麻を使用した特製だれを溶かし、オリジナルのスープが出来上がる。スープを飲み進めると最初に胡麻の味と香りが立ち、あとから魚節のうま味が追いかけてきて、動物系のうま味が下支えしている。さらにその合間を縫うように大葉、生姜、山椒など和の香味が顔を出す。どの素材も突出することなく、それでいてしっかりと存在感を示している。これは竹内さんの非凡なバランス感覚の成せる技だろう。
 
 胡麻を主役に据えた独創的な一杯だが、その味わいにはどこか懐かしさが漂う。それは日本人なら誰もが慣れ親しんでいる和の素材を上手に使って味を構築しているからであろう。他にはない新しい味を生み出そうと考える場合、得てして奇をてらったものへと走りがちだが、竹内さんはあくまでも誰もが知っている素材を使いながら、誰もが味わったことのない味を作り出し、そして誰もがほっとする一杯に仕上げているのだ。
 
 【交通】JR、京成船橋駅から徒歩10分。電話047-431-1760。


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