左から夏木マリ(月影千草)、大和田美帆(北島マヤ)。撮影=宮川舞子
僕が選んだ、一昨年の「日本の新作ミュージカル2008」のベスト1が「ガラスの仮面」だった。早くもその続編である。-二人のヘレン-と副題にあるとおり、三重苦の障害を乗り越えたヘレン・ケラーとサリバン先生の『奇跡の人』のクライマックスが劇中劇として登場し、この「ガラスの仮面」のハイライトを飾る。ご存知のように、演劇を材にした原作のマンガは1976年に連載がスタートし、累計発行部数5千万部を超えるスーパースターなのだ。ちなみに、今秋には待望の第45巻が刊行される。音楽劇の主なスタッフは初編と同じく、原作=美内すずえ、脚本=青木豪、音楽=寺嶋民哉。そして演出は鬼才・蜷川幸雄。
≪…「劇団つきかげ」は演劇コンクールに負け、解散が決定。だが、北島マヤ(大和田美帆)の演劇にかける情熱は募るばかり…。マヤは月影千草(夏木マリ)のもとでレッスンを重ねる一方、芸能プロの速水(新納慎也)の思惑で、急遽、とある芝居の代役を務めた。そのことを知った月影は怒り心頭、マヤに『奇跡の人』のオーディションを受けることを命じ、合格しなかった場合は破門だと伝える。一方、宿命のライバル、姫川亜弓(奥村佳恵)もオーディションに応募。熾烈を極める戦いに勝ち残ったマヤと亜弓。二人は亜弓の母・歌子(香寿たつき)を相手役に、ダブルキャストで『奇跡の人』のヘレンを演じることになった…。≫
初編と同じく、劇場に入ると開演前の素舞台に出会う。裸の舞台は実にあっけらかん。三々五々、役者たちは客席を通って舞台に上がり、体操や発声訓練に余念がない。その中をステージツアーの客が横切ったり、舞台スタッフも行き来する。この混然とした風景が実に和やかだ。本編で速水の秘書役を演じる遠藤瑠美子を中心に本格的なストレッチが徐々に熱を帯びて、暗転。舞台奥から巨大な絵札の群れが登場し、「紅天女」が宙を舞い、物語が始まる…。なんとドラマチックな開幕。この続編は、原作の6巻から13巻に描かれたエピソードを核に展開。エミリー・ブロンテの『嵐が丘』、マーク・トウェインの『王子とこじき』、シェイクスピアの『ハムレット』『テンペスト』などお馴染みの演目が劇中劇として登場し、マヤと亜弓が、質の異なる演技で火花を散らす。初編から続編への2年間、大和田、奥村の演技も数段にレベルアップ。大和田の劇中劇『石の微笑』(作=美内すずえ)での人形ぶりが目を惹き、奥村の目の力が強い。圧巻は『奇跡の人』、サリバン先生役の香寿(こうじゅ)を相手に、二人は丁々発止、好対照な演技を魅せた。...
【メモ】8月27日(金)まで、彩の国さいたま芸術劇場で絶賛上演中。問い合わせは同劇場、電話0570-064-939。
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