
今年は異常気象。内外房の水温はなかなか上昇しない。飯岡沖のシロギスも例年ならGW明けに釣れだすのだが、低水温のためシーズン入りはまた先だ。行きつけの小料理屋でグラスを傾けていると、隣の客が、「ケンさん、そろそろ初夏、シロギスの季節だろう…。塩焼き、天ぷらは絶品。釣ってきてよ」と。“特別注文”されてしまった。ママさんにも「天ぷらは私の得意料理。みんなで食べましょうよ」。このダメ押しが利いた。「東京湾奥なら多少は釣れる。調達してくるよ」となり、浦安「吉野屋」からの出撃が決まった。
午前7時すぎ、老舗の船宿に到着。キスの釣果がやや上向いてきたとあって、家族連れなどで船は満員の盛況。座は右舷胴。釣友が右隣。「帰ってキスパーティーを開くなら2人で60匹ぐらいは釣らなければ…。助っ人の腕に任せなさい」と張り切っている。
定刻に河岸払い。高田義弘船長の操舵(そうだ)で航程1時間余の小柴沖を目指す。この日は、さわやかな青天。海も穏やか。が、数日前の雨で水色が濁っており、好釣況とは言えない。
操舵室で東京湾奥のキス情報を船長から取材。「今は水温がまだ低く、群れが固まっていない。木更津沖、富津沖、中ノ瀬、小柴沖など各ポイントがあるが、数が伸びていない。昨日は中ノ瀬を攻めたが、食い渋った。きょうは20センチオーバーの良型が狙える小柴沖に行く。土産分は確保できるよ。私に任せなさい」の頼もしい言葉。ヒゲの船長として同宿の人気者である腕達者は、湾奥のキスポイントを知り尽くしているのだ。
漁場に到着。「水深は15メートル。10秒間に1回、誘いを入れて。ここのキスは“置きザオ”では釣れない」。船長のアナウンスで「海の女王」との楽しい出会いが始まった。
2本バリ仕掛けにエサの青イソメをチョン掛けして、船前に軽くキャスト。着底後、イトフケを取って、サオ先を少し上げて、「さあ、食ってこい」と誘い掛ける。が、反応はない。
30分が経過し、ようやくサオ先がおじぎ。ひと呼吸おいてキキ上げると「グン、ググン」の明確な引き。「この手ごたえなら良型」。リーリングしてハリスに躍ったのは、パールピンクの23センチ。丸々と太っている。「このサイズなら塩焼きでグー」
釣友のサオ先も曲がった。「いい引き。これがキス釣りの魅力」と笑顔の巻き上げ。手にしたのは25センチの大型。そして、立て続けに良型をヒットさせる。
当方も20センチ前後を連釣するが、釣友の快調なペースにあおられ、数があまり伸びない。左舷では「やった。大きい」の歓声。今度は「良型のダブル」に、「きょうのアタリ座は左舷。着座を間違えた」と悔やんだ。(原田憲司)
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