
年の瀬に、納竿は館山湾のカワハギと決めていた。飲み仲間たちが、良型は肝和えのお造り、小中型は熱つ熱つの鍋。「ケンさん、頼みます」と特別注文を受けたのだ。船形港の「館山つりセンター」にTEL。花輪雅一船長の「昨日は上で41匹。午後船でも15匹以上いく。25センチ超えの大型もまじる。いらっしゃい」の声に「良型が3、4匹あればいい。午後でお願いします」と返事、難敵退治に乗り出したのだ。
正午すぎ、港に到着。既に数人の客が待機。「先日、31センチをヒットさせ、魚拓を取った。昨日の好釣果にまた来てしまった。大型にそなえPE2号のリールを用意。きょうもサオ先が『ガクガク』するビッグを仕留めたい」の釣り談議に、「よし、オレも」とイレ込む同行の友。
定刻に午前船が帰港。マスターズの腕達者に、「どうでした…」と声を掛けた。「ベタナギ。潮がまったく利かない。なんとか15匹クリアした。ケンさん、午後はもっと厳しいよ」。冬晴れの天気とは裏腹に顔を曇らせる当方。午後の釣果は午前の半分なのだ。
船のもやいが解かれ、出船。航程10分のポイントを目指す。座は右舷胴。友が左隣のミヨシ寄り。右隣は地元の常連さん。十数年前からの知り合いで、「あっと驚く」腕前の持ち主。「ケンさん、得意の“手抜き”はナシ。きょうは長潮で潮回りが悪い。きっと苦戦するよ」にうなずく当方。
大房岬を望む漁場に到着。「水深は30メートル。やって」。船長の合図で今年、最後のアタック開始。オモリ30号、3本バリ仕掛けにムキ身のアサリを丸め込んで、船前に投入。着底後、イトフケを取ってサオ先を少し上げて誘い釣り。仕掛けを上下させ、「さあ、食ってこい」。が、敵の反応はない。冬場なので定番の外道、トラギスやベラもハリ掛かりしない。左舷トモ、胴で1、2匹ヒットするが、右舷ではサオが曲がらない。
この沈黙を破ったのが釣友。顔を紅潮させて懸命のリーリング。15センチのワッペンを取り込んで、「まずは1匹。小さくてもいい」とニンマリ。トモの若手アングラー、常連さんにも同型が来る。しかし、当方だけが取り残される。手抜きはしていないがなぜか食ってこない。やはり腕の差か、「クソッ」。唇をかみしめながら、「今に見てろ」。
あまりの食い渋りに、船長の顔もさえない。流し替えするたびに1、2匹。「昨日はあんなに食ったのに…。潮がまったく動かないこれじゃダメだ」とグチをこぼす。「それはこっちのセリフだ」と言いたくなった。
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館山沖のカワハギ
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