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日本山岳会の千葉山行日記

権現の森(179m)

 千葉の分水嶺を歩いたのは10月。スタートは長柄町六地蔵。ここは、東京湾側の千葉市から外房の中核都市・茂原市に向かう通称「茂原街道」の長い坂道を上りつめた最高地点でもある。コスモスが咲いていた。山道ではカントウヨメナやオミナエシも咲いていた。まもなくクリ林の向こうに小高い山が見えるが、これが標高179メートルの「権現の森」だ。

 タブの自然林に覆われた山は、遠く県庁の19階にある展望ロビーからも望むことができる。下総台地が房総丘陵として盛り上がる顕著なピーク。地元の信仰も厚く、三角点のある森の中に神社が祭られていた。

 スズメバチが飛んでいる山頂を早々に退散し、山村の秋の景色を堪能しながら次の目的地に向かう。道は「関東ふれあいの道」と交差しながら、海上自衛隊の大きなアンテナが立つ市原通信所へと続く。「海だ、海だよ」の仲間の声に目をこらすと、臨海コンビナート群の向こうに青い海。紛れもなく東京湾だ。

 渋くて深みのあるえんじ色はカキの葉だ。やぶの中にアケビがぶら下がっていた。仲間の1人がつるを引っ張って実を取ろうとしていたら、ヘビが出てきた。カラスウリがゆらりと揺れた。

 さらに歩いて刑部の高星山に登る。「刑部」と書いて「おさかべ」と読む。大黒様を祭る古い集落の一つ。高星山までは分水嶺の線上を歩く。やがてスダジイの巨木たちと出会った。この頂にも祠があった。東側が切り開かれ、茂原市内の町並みと太平洋が、午後3時の日を浴びて、明るく見えた。暖地の存残林として国の天然記念林に指定されている長南町の笠森観音の森までは、あと一頑張りだった。 (三木 雄三:記)


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