鄙の里が製造する牛乳と、ミカンを活用したヨーグルト製品の試作品
「日本酪農の発祥の地」である南房総市で唯一残る乳製品製造会社「鄙の里」(社長・石井裕南房総市長)が乳製品事業の強化に乗り出す。地元特産の果物入りのヨーグルトなどの新商品開発をはじめ、商談会でのPR活動、農家と連携した体験型観光の推進などを計画。地元乳業の衰退が進む中、「発祥の地の誇りと使命感」(同社)をかけて底上げを図る狙いだ。
1728年、江戸幕府が管理していた嶺岡牧場(旧丸山町)でインドから輸入された乳牛3頭の飼育がスタート。これが日本の酪農の発祥とされる。かつて一大乳牛地帯として栄えた南房地区だが、酪農家数や乳牛数は減少の一途をたどっており、南房総市内の乳製品製造業者も今は市出資の第三セクターである鄙の里の1社のみ。「酪農家、製造業者ともコスト高で採算が取れず、撤退が続いている」と同社は説明する。
同社の計画によると、まず地元特産のミカンやブルーベリーを活用したヨーグルトを開発。女性をターゲットに見た目の美しさにこだわり、ピューレ状の果物とヨーグルトの「2層」をつくり、ガラス容器に詰めて販売する。「ヨーグルトの性質上、異物を入れると軟らかくなり混ざってしまう」(同社)ため、果物を入れても固形が崩れない方法の研究を進めている。来年春をめどに商品化にこぎ着けたい考えだ。
洋菓子店との連携も構想。牛乳と地元産の有精卵、果物を活用してシュークリームなどのスイーツの開発を目指す。
地元中心に販売してきた従来の姿勢を変え、商談会などで積極的に宣伝していく。3月に千葉市の幕張メッセで開かれた食の商談会「フーデックス・ジャパン」にも初めて出展。同社近隣の安藤牧場の牛から搾り、低温殺菌で仕上げた風味の良い牛乳に注目が集まり、県内外のスーパーやホテルへの販路拡大が実現した。
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