食の安全が国民の関心ごとである今日、米という日本古来からの食材を農家の方々が守り育ててきたといってよい。しかし、農政がめまぐるしく変化する中で老齢化、農薬、田の大型化など農業を取りまく状況は課題が山積している。
食育が学校現場で登場してきて、食への関心がさらに高まっている。こうした中で、もっとご飯を食べてほしいと米づくりやご飯のいろいろな食べ方、つまり食と農をつなげた本が出た。
『シリーズ食農学1 イネ・米・ごはん』(佐合隆一・飯島和子・飯島朝子著、植嶋政義撮影)である。著者の一人飯島和子氏は千葉県立衛生短期大学に勤め、学生にこの本を教科書として使用したいと願い、作成したという。この本の中で著者らは「イネがどのような植物であり、どのように栽培され、米としてどのように食べられているか解説した」とある。「お米がどう作られているのか、まずは知ってほしい」ということである。この本は一般の方にも分かりやすくするための工夫がみられる。例えばイネを農学の面から、イネのまわりの雑学を植物生態学の視点からも述べていて、興味深い。
『古文書』によく「石高」の記載がある。各地域での生産量を示している。米が経済の中心の指標であった。この「石」という単位の説明もあり、若い人にもこの本の内容が分かるよう配慮されている。
筆者が子供のころ、ご飯を炊くのはかまどだった。“はじめちょろちょろ、なかぱっぱ、赤子泣いてもふたとるな”そろそろいいなという時、ふたをとって内をのぞきたくなると、この言葉を耳にし、ふたをとるのをやめた。この科学的な説明もこの本にあって懐かしい。また、戦後の筆者の弁当箱の中身は麦飯のまざったご飯の弁当やさつまいものふかしたものだったりで、友人の中には白米に海苔が一面にのせてあったものもあり、うらやましかった。白米の弁当は何人もいなかった。そうした時代を経て、今ではお米の利用が減少ぎみである。...
(川名興・千葉県立中央博物館友の会顧問、東京湾学会理事)(全国農村教育協会・二四一五円)
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