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読者文芸

2010年8月8日


日報俳壇 篠崎青童選

いすみ市 藤平きそ子
万緑の鉄道で行く同窓会
 【評】小さな旅がかなえられているような、いすみ鉄道なのだ。太平洋側のいすみ市と内陸部の大多喜町を結ぶ歴史と自然をめぐる観光路線は、鉄道の旅百選のひとつに選ばれているだけに、まさに万緑の風景が広がるすばらしさにちがいない。黄色い車体が時々鉄橋を渡って行くその先には、懐かしい顔がそろう「同窓会」の感激が待っていることでしょう。

八街市 市原善衛
青梅や吾が取り妻が漬けにけり
 【評】かたく緊(しま)った青い梅の実は酸味がつよく梅酒づくりなどに最適。子供のころは塩をつけて食べたりしたものだ。もぎ取った梅を、さっそく妻が漬けるという楽しみはおそらく毎年のことでしょう。長年連れ添われた夫婦ならではの阿吽(あうん)の呼吸と言えようか。今年の梅を愛でる「漬けにけり」の余情のあざやかさ。

日報柳壇 平井吾風選

市原市 横尾收
旅立ちは口蹄疫という仲間
 【評】この口蹄(こうてい)疫に関した句は過去にも幾度か出てきたが、いずれ食材になる定めとしてもヤッパリ感慨深いものがあった。そこを割り切って考えるとして、原句の言われるように処分されるものたちにしてみれば、口蹄疫という悪ものにされたが、何十万頭もの仲間が一緒だとあきらめてくれるのでは…と人間の勝手な思いがうかがえるウガチがよく表れている。

八街市 小川桃紅
足るを知る只それだけで生きられる
 【評】不自由を常と思えば不足なし…という家康の名言を思い出すが…、原句もそのことを下敷きに考えられたのだろう。欲をかいたら切りが無いのが人間だ。それぞれが今在ることに感謝して生きたなら争いは無いのだが…。作者に同感。

日報歌壇 大島史洋選

香取市 石毛海津江
恙無き七十七の深呼吸あやめの花の咲き揃う朝
 【評】健康でいられる喜びを感ずる、さわやかな朝のひとときです。

千葉市 佐藤展子
梔子の甘き香りは部屋までも漂いてくる梅雨の晴れ間に
 【評】クチナシの匂いには独特のものがあります。梅雨の晴れ間に、その匂いが部屋の中にまでただよってくるというのです。

日報詩壇 中谷順子選

何も言えないぼたん
 茂原市 中山操
何も言えないって
どんなに悲しい事か
「美しい」
この声を何回も聞く
本当にうれしいこの言葉よ
「ありがとう」と言いたい
でも何も言えない哀れさよ
ただ黙って聞く

離れる人がいる
「またおいで」と言いたい
でも言えない
何も言えぬこの歯痒さよ

通る人に手を振りたい
でも出来ない
「素晴らしい一日で
ありますように」と
心の中で祈るだけ

何も言えないって
どんなに悲しい事か

 【評】声を出せない牡丹への哀感がテーマですが、声を出せる者でも言うに言えない、言葉を飲む瞬間が度々あるものです。その時の悲しさがしみじみ詩から伝わり、心打たれました。

日報学生歌壇 下平武治選

浦安市 小貫直人
やっと来た待ちに待った給料日大学行く前まず銀行へ
 【評】アルバイト学生の給料日を待っている気持ちがよく伝わってくる歌です。大学に行くよりまず銀行に行くというところに切実な思いがこもっています。頑張ってください。

我孫子市 内田陽一
この暑さクーラーなしでは耐えられず我慢も限界電気代かさむ
 【評】異常なほどの今年の暑さ。学生生活の作者にとっては電気代もばかにならないのでしょう。クーラーを使わずに我慢していたのがもう耐えられないという。切実な歌です。

■投稿規定
▽俳句、川柳、短歌、学生短歌は、はがきに五句以内。詩は原稿用紙を使用▽はがきには、それぞれ「短歌」「学生短歌」「俳句」「川柳」と記入すること▽作品は毎月第2、第4日曜日の読者文芸欄に掲載します▽作品には投稿者の郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記のうえ、〒260-0013 千葉市中央区中央4-14-10 千葉日報社文化部読者係までお送りください。メールでの投稿は受け付けておりません。


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