写真集の狩人

2010年7月11日


日報俳壇 篠崎青童選

勝浦市 斎藤芳恵
春愁や遺影に黒子ありしこと
 【評】御主人を亡くされた句が、過去にあったが、その遺影に向かって手を合わせているのであろう。生前はさほど気にしていなかったが、遺影となった顔面に見つけた小さなホクロ。来世までもと誓い合った仲でも、お互いに気が付かないことは有るもの。夫が遺(のこ)していった教訓を大事に、春愁に浸っているのであろう。

酒々井町 榎利美
流鏑馬の馬場見通しの若緑
 【評】「やぶさめ」も夏の季語だが、松の新芽の緑との取り合わせで生きた句。最近は鎌倉ばかりでなく、神事の行事にも行われているが、走る馬上より射た矢が的へ命中した時の、群衆のどよめきが聞こえるようだ。馬場の周囲は黒松が群生し、その若緑まで喝采(かっさい)をしているようだ。

日報柳壇 平井吾風選

野田市 川島一行
無い袖も振らせて嫁ぐリボ払い
 【評】嫁がせるという事は相当の準備が必要だ。もちろん、掛け方にもいろいろあるが、やっぱり親ともなれば世間並みぐらいにはしてやりたいとも思うのが普通だろう。原句は華やかさの裏を突いた意外性のある表現。リボ払いに現実感を覚える。笑ってはいけないところで笑いたくなる面白さに感服。

成田市 離らっくす
喧嘩にも潤滑油にもなるお酒
 【評】そうですね。と言うところではあるが、酒という物はそういうもの。人間の裏表に常に付いてくる魔法の水のような物で古代から有り、これからも永遠に無くならない物の一つだろう。原句はウイットも利いて単純なまとめ方が逆に良かった。

日報歌壇 大島史洋選

いすみ市 佐藤幸子
パソコンとレントゲン写真を見て話す医師は一度も私を見ない
 【評】こういうお医者さんが多くなっているようですね。触診も減っているらしい。医学の進歩の結果、それが当然というのでしょうか。

君津市 豊蔵欣治
朝十時何にも通らぬ過疎の道銀河の如く薊の花咲く
 【評】上句から下句への表現に意外性があります。アザミの花が銀河のように咲き続いているとは、すてきです。

日報詩壇 中谷順子選

嵐山の鵜飼
君津市 星野啓一

川面に揺れるかがり火の群
幻想的な雰囲気をかもしだす。嵐山の山影を映して流れる大堰川に船を並べ、かがり火を灯して行われる。古朝鮮人たちによって始められた古式ゆかしい嵐山の鵜飼。その歴史古く千年も昔、平安時代のころから行われ、幽玄な風情ただよう夏の風物詩だ。千年の光芒を今につなぐ嵐山の鵜飼。
 【評】嵐山の美しい自然を背景に行われる鵜飼。かがり火のありさまが目に浮ぶようです。その光芒に千年の時を感じて佇(たたず)む詩人の姿が印象的。

日報学生歌壇 下平武治選

流山市 小林幹治
意味もなく携帯ばかり見つめてる千葉の空気にまだ馴染めずに
 【評】新しい土地になじめず意味もなく眺める携帯電話。ついついふるさとからの便りを期待してしまうのでしょう。大学生活を送るために上京してきた作者の不安がしみじみと伝わって来る歌です。

千葉市 岡本拓海
口下手な我は人より不器用で会話弾まず気持ちも沈む
 【評】うまく人と話せないほど辛いものはありませんね。作者も会話の中に入っていくことができず、気持ちが沈んでしまうという。気持ちのよく伝わってくる歌です。

■投稿規定
▽俳句、川柳、短歌、学生短歌は、はがきに五句以内。詩は原稿用紙を使用▽はがきには、それぞれ「短歌」「学生短歌」「俳句」「川柳」と記入すること▽作品は毎月第2、第4日曜日の読者文芸欄に掲載します▽作品には投稿者の郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記のうえ、〒260-0013 千葉市中央区中央4-14-10 千葉日報社文化部読者係までお送りください。メールでの投稿は受け付けておりません。
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