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読者文芸

2010年5月23日


日報俳壇 篠崎青童選

山武市 佐藤三男
生あらば吾子も不惑や草青む
 【評】著書「有難うがいっぱい」を拝見した。七年前に御子息を亡くされていて、両親がその追悼の本を出されている。直腸がんで、妻と二人の幼い愛児を遺(のこ)して逝かれた。悲しみに耐えるために出された本で、涙を誘われた。親に先立つは不幸とはいえ、加えて愛妻と愛児との別れのつらさを思いやる親の気持ちがあふれている。健在ならばまだ四十歳、男盛りで子も中学生。天国から見守ってくれているだろう。

千葉市 小林昌子
母の齢一つ越えたり春隣
 【評】人生五十年などといわれたのは半世紀も昔の話。日本人の平均寿命は世界一で、女性は八十六歳だそうだ。そして自分の家系、親の死亡年齢を対象にしてみる。長生きの家系もあるが、果たして親や先祖よりも長く生きられるだろうか。親よりも一年でも長く生きられたことは親孝行であるし、先祖への感謝は忘れてはならない。

日報柳壇 平井吾風選

御宿町 高田和子
出費でも嬉しい出費サクラサク
 【評】川柳は省略の文学ともいわれるほど、言いたい事の全部を言わずにポイントだけを拡大して表現するのが本来の巧(うま)い川柳だ。原句は極限までに無駄を省き取り、めりはりの利いた仕上がりにウイットを忘れない全体のスッキリ感が妙。

君津市 雨宮彩織
錆びかけた脳をパズルにノックさせ
 【評】クイズとかパズル等を頭の体操などと言ったりもするが、齢(とし)を増すごとに脳細胞も退化していくようで、子や孫たちにもかなわなくなっていく…。原句の表現もまさに意を突かれたウイット感に富んでおり、着想的には同想句もありがちだが、ここはここの事。良くまとまっている。

日報歌壇 大島史洋選

千葉市 青木勘一
辛夷咲き我が悲しきは此の春に大正一桁二人逝きしこと
 【評】作者も九十三歳ですから大正一桁世代。作者の悲しい気持ちが読む者にも伝わってきます。

四街道市 関トシ子
ケイタイも必要なりと息子言う我は断る理由のありて
 【評】おもしろい歌。作者には、ケイタイを持たないしっかりとした理由があるのでしょう。

日報詩壇 中谷順子選

 椅子
  君津市 星野啓一
ただそこにあるだけ
それだけで住んでいる人の気配を感じさせる家具
椅子よ
物思いにふける時
そこに身をゆだねよう
多くの時を共にしている
かけがえのない椅子
ゆとりある暮らしへと
誘っているかのような
その心地よさ
 【評】椅子は使っている人の性格まで感じさせる不思議な家具。座る人の心やため息を吸収しているのかもしれませんね。

日報学生歌壇 下平武治選

流山市 夢田朝美
美しく咲き乱れてる花みるとなぜか心は不思議と安らか
 【評】美しく咲き乱れている花に心安らぐという作者。花は誰をも安らぎの世界に導いてくれる不思議な力をもっている植物。素直な表現で心優しい作者を窺うことができる歌です。

市原市 千葉諒平
寒い春身を震わせて下向くと寒さに負けず咲くチューリップ
 【評】あまりの寒さに震えながら下を向いた作者の目に映ったのは、その寒さに負けず懸命に咲いているチューリップだったという。きっとそのチューリップから作者は元気をもらったのでしょう。

■投稿規定
▽俳句、川柳、短歌、学生短歌は、はがきに五句以内。詩は原稿用紙を使用▽はがきには、それぞれ「短歌」「学生短歌」「俳句」「川柳」と記入すること▽作品は毎月第2、第4日曜日の読者文芸欄に掲載します▽作品には投稿者の郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記のうえ、〒260-0013 千葉市中央区中央4-14-10 千葉日報社文化部読者係までお送りください。メールでの投稿は受け付けておりません。


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