• 文字サイズを変更
  • 小
  • 中
  • 大
読者文芸

2010年4月25日


日報俳壇 篠崎青童選

君津市 豊蔵欣治
春日射し鋏がしゃべる理髪店
 【評】床屋と言いたくなるような理髪店の椅子にゆったりと坐っているのでしょう。長いお付き合いの年月なればこその理髪師に身をまかせている鋏(はさみ)の音にちがいない。それにしてもジョキジョキと「鋏がしゃべる」愉しさは、ひとりひとりの頭髪を知りぬいている鋏の心意気のようでもある。きらきらとした春の日射しに包まれた夢心地の客なのだ。

木更津市 金子こう
ひなの歌今も昔も優しかり
 【評】桃の節句が近づくとデパートなどの雛人形売り場からは「あかりをつけましょぼんぼりに」の歌がきこえてくる。今も昔もかわらぬ美しさを保って輝くように見えるお雛さまをたたえる歌には、平安初期からの行事に結びついた、女児の幸福な成長を祈る人々の想いがこめられていましょう。時代を超えて歌い継がれている童謡にほんのりと染まるうれしさ。

日報柳壇 平井吾風選

長生村 小野與四法
エコ技術光と風が競いあう
 【評】同じエネルギーでも限りある資源を使っての油を燃やし、しかも空気を汚すとなれば太陽光ソーラーと風力発電のエコならいかに良いかは論ずるまでもない。原句はそこを光と風の巧みな組み合わせでサラリとまとめ、良い意味での戦いがさわやかに聞こえる。

茂原市 福田研治
坪庭に溢れる春の盛合せ
 【評】作者宅の庭ならば坪庭は謙遜(けんそん)であろうが、作品として鑑賞するなら、坪庭を器に見立てたかの「春の盛合せ」などとした辺りの意外さにウイット感がある。狭いながらもキチンと手入れされた夢が広がり、楽しい庭を思い起こさせる無駄のないまとめが良い。

日報歌壇 大島史洋選

木更津市 草井笑子
夜遅く帰りし息子に升持たせ小声で豆まき背広のままで
 【評】息子さんの帰りを待っていて、豆まきをしたという歌。縁起物だからでしょうか。

御宿町 君塚一雄
三月に平均寿命を超えるわれ亡き妻に遅るるはや十五年
 【評】もう十五年もたったのかという感慨。寂しさが身に沁みる歌です。

日報詩壇 中谷順子選

 仏像
  君津市 星野啓一
名刹古刹を訪ねると
誰もが目にする古い仏像
興味はあるものの
有名な仏像でないと
何となく眺めてつい
通りすぎてしまいがちだ
でも是非一度立ち止まってください一体の仏像には
奥深い仏教の智慧
仏師たちの情熱と信仰
そして日本彫刻造形の
優れた技術が詰まっていて
感嘆の世界を作っている
見つめていると
日本人の心が見えてくる
 【評】長年信仰されてきた仏像には願いがこもっています。作者の歴史観が語られている詩です。

日報学生歌壇 下平武治選

流山市 白石未来
早咲きの梅の小さな花開き気持ち先走り春服を出す
 【評】春の訪れを今か今かと待ちわびている作者の気持ちが、早咲きの梅に刺激されて春の服を出したというところによく出ています。飾り気のない素直なよい歌です。

流山市 川幡勇太
道迷い住宅街をうろつくと呼びかけ聞こえる不審者注意と
 【評】道に迷って住宅街をうろうろしている作者の耳に飛び込んできたのは「不審者注意」という呼びかけだったという。自分が不審者と間違えられるのではないかとびくびくしたことでしょう。

■投稿規定
▽俳句、川柳、短歌、学生短歌は、はがきに五句以内。詩は原稿用紙を使用▽はがきには、それぞれ「短歌」「学生短歌」「俳句」「川柳」と記入すること▽作品は毎月第2、第4日曜日の読者文芸欄に掲載します▽作品には投稿者の郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記のうえ、〒260-0013 千葉市中央区中央4-14-10 千葉日報社文化部読者係までお送りください。


mixiチェック このエントリーをはてなブックマークに追加
読者文芸の続きは紙面をご覧ください。千葉日報を購読する

当ホームページの記事、画像などの無断転載を禁じます。すべての著作権は千葉日報社および情報提供者に帰属します。

Copyright (c) CHIBA NIPPO CO.,LTD. All rights reserved.