日報俳壇 篠崎青童選
山武市 安井やすお
西行のゆかりの神社御的歩射(おまとびしゃ)
【評】正月のオビシャ行事は、各地の農村にまだ残っている。大飯を食わすとか、髭(ひげ)をなでて酒を飲むとか、農村の楽しい新年会だろう。東金市の貴船神社の「御的びしゃ」は有名で近くに「墨染の桜」があり、西行法師の杖が根付いたとの伝説もある。昔は九十九里の網主が、豊漁祈願にこのオビシャに参加したという。お的を矢で射ての行事。
御宿町 高田和子
花畑泳いで歩くいまも海女
【評】季語は「海女」で、普段は海に潜ってサザエやアワビを取るが、早春の季節は房州名物の花畑へ応援に出ている。あるいは家族が花を栽培しているのか。キンセンカやストックやポピー。真冬から咲き乱れる房総の花畑。客を案内する姿は、やはり海に潜る姿勢が抜けず、海を泳ぐように足取りは軽い。
日報柳壇 平井吾風選
大多喜町 鈴木政雄
子ども手当親が貰って子が払い
【評】子ども手当は良いがその財源は国の借金ならば結局は子供たちが大人になってから付けが回ってきて払わされるようなものだ。原句はまさに的を射たウガチの良さがいい。親がもらってと言う皮肉と、子と親の言葉の遣い方の面白さが妙。
野田市 川島一行
風呂敷のでかさ信じた投票所
【評】新政権への皮肉を言葉こそソフトだが潜みの利いたなかなかの出来で迫ってくる。マニフェストを大々的に掲げ、政治が変われば暮らしが良くなるというイメージを感じさせてくれていたからであろう。原句は省略の文学といわれる川柳を見事に突いている。
日報歌壇 大島史洋選
千葉市 佐藤展子
ふるさとの従弟の声に一っ飛び焚火を囲みし日の蘇る
【評】従弟の声を聞いたとたんに、懐かしい故郷での思い出がよみがえったという歌。この気持ち、よくわかります。
市原市 布施昌子
あふれくる思いあるのか孫が泣く靴を脱ぎ捨て母に抱きつく
【評】孫の様子をじっと見ている作者。下句の表現が的確で、幼い子供の様子が目に浮かびます。
日報詩壇 中谷順子選
絶頂の向こうは
千葉市 翔
5月バラが香る咲き誇る
蜜蜂のハミングが風に乗る
いま世界は美しい
海セールは斜風をはらみバウは波とともに歌い
カモメは風に笑う
夜ジャズが流れる明かりの下で千年の恋物語が
流れていく時はたゆたう
小部屋薄明かりの中で
あなたの髪が美しくなびく時は止まるか
男は向かう絶頂を目指し
上る登る昇る
のぼりつめようとする
その先は何か
帰れぬ空も山もある
それでも男は絶頂を目指す
【評】5月、海、夜…と名詩をまず提示する描法に、欧風的なシャンソン詩の響きが感じられます。最後の連まで同じ書法で統一してもよかったのでは。ウーン「絶頂」…ときましたか。
日報学生歌壇 下平武治選
柏市 小西秀斗
マイク持ち駅前陣取る団体を尻目に過ぎる朝の一コマ
【評】選挙演説でしょうか、マイクを持って呼びかけているその横を誰ひとりとして立ち止まることなく黙々と通り過ぎていく。目慣れた朝の風景と化した様が目に浮かんでくる歌です。
野田市 川端勇太
住む場所と健康食事の保証付きうらやましきは動物園
【評】確かに動物園は食・住・健康管理が保証されていますが、普段気にもとめていないことで言われて初めてなるほどと気がつくことです。発想の楽しい歌です。
■投稿規定
▽俳句、川柳、短歌、学生短歌は、はがきに五句以内。詩は原稿用紙を使用▽はがきには、それぞれ「短歌」「学生短歌」「俳句」「川柳」と記入すること▽作品は毎月第2、第4日曜日の読者文芸欄に掲載します▽作品には投稿者の郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記のうえ、〒260-0013 千葉市中央区中央4-14-10 千葉日報社文化部読者係までお送りください。
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