日報俳壇 山中葛子選
千葉市 椿良松
山眠る薬の力借りずとも
【評】枯れつくした山々が、冬日のなかに深々と眠っているような景観は「山眠る」という季語の精妙さそのもの。大地のエネルギーがぽっかりと充電される安らぎが感じられよう。それに比べて、生命維持には不可欠な人の眠りは「薬の力」をかりることにもなり、たちまち薬依存症のこわさが待ってもいよう。何といっても自然の姿はうらやましくすばらしい。
茂原市 富田あき
娘の家に泊まりし夢や年の暮れ
【評】一年ぶりに富田あきさんの句に出会えたうれしさ。「娘の家」とはむろん緑川安英さんの家のこと。ご高齢なので外泊はむずかしいことでしょうけれど、夢の中ではいつでも叶えられる長寿のゆたかさ。<手をぬくめねんごろにもむ母の足><百二歳母を寿ぐ鏡餅>の緑川さんの投句もあり、母と娘が日報俳壇の紙面で交し合う心ばえの鮮やかさに感激。
日報柳壇 平井吾風選
千葉市 斎藤ハナ子
道教え飴玉いっこ手渡され
【評】さりげない句ではあるが、温かみのある軽さでウイットが良い。特に中七のフレーズが冗談っぽく表現され、手渡された方がキョトンとしてしまうほどの巧みなまとめがユーモラスで面白い。私に代わってからの投句は初めてのようだが気負わないうまさを感じる。
成田市 香取遊人
初暦丸一年の重さ吊る
【評】暦その物の重さはたかが知れているが、原句で言うのは中身の問題。自分にとってのこと、家族のことや友人知人の事柄。いろいろしがらみが行事としてまとわってくるだろう。そんな重さが今年もまた、暦の中に詰まってくる…。省略が利いたまとめの良さが妙。
日報歌壇 大島史洋選
君津市 豊蔵欣治
畑隅に堆肥を高く積み上げて今年最後の吾が作業終えぬ
【評】一年最後の農作業を終えた感慨がうまくうたわれていると思いました。高齢の作者ですが、お元気ですね。
千葉市 佐藤敬子
去年(こぞ)の今日手帳捲れば刻み柚子の砂糖汁だけ飲みし亡母いて
【評】手帳を見ながら、亡くなった母を思い出している歌。具体的に「刻み柚子の砂糖汁」と表現したところがいいです。
日報詩壇 中谷順子選
報告します
鎌ケ谷市 島根一郎
報告します
一昨年の暮れ
決心したんです
月二回日曜日に掲載される
千葉日報詩壇へ
投稿しようと…
去年十回入選したんです
希望が膨らむ
喜びが溢れ
良い言葉です
選者に褒められたんです
今年六回目の年男なんです
虎は千里行って
千里帰ると云います
辛いこと悲しいこと
勿論嬉しい事も楽しい事も
沢山ありました
恥ずかしいけど
選者に
詩人と云われたことが
二回あるんです
恥ずかしいけど
報告します
又千里の旅へ
出かけるのです
【評】投稿から広がった詩作の喜び。これはもう冒頭に掲載するしかありません。私もうれしいんですもの。喜びが一行目から表現され膨らみが連ごとに高まり、さらに寅年にちなんで詩作への飛翔で締めくくる。見事です。
日報学生歌壇 下平武治選
流山市 池田美子
寒いねとポケットの中で手をつなぐドラマのようで頬が赤らむ
【評】心寄せる人とポケットの中で手をつないでいるという。きっと心も手も暖かかったことでしょう。ちょっとはにかみながらも素直に自分の気持ちを表現しているのが良いです。
松戸市 根岸伸行
卒業の仲間と交わすこの言葉かけがえのない日々ありがとう
【評】喜びも悲しみも苦しみも共に味わってきた仲間との別れの時。下の句の言葉は学生生活の終わりを迎えようとしている作者の心から出た思いでしょう。この気持ちを大切に持ち続けて下さい。
■投稿規定
▽俳句、川柳、短歌、学生短歌は、はがきに五句以内。詩は原稿用紙を使用▽はがきには、それぞれ「短歌」「学生短歌」「俳句」「川柳」と記入すること▽作品は毎月第2、第4日曜日の読者文芸欄に掲載します▽作品には投稿者の郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記のうえ、〒260-0013 千葉市中央区中央4-14-10 千葉日報社文化部読者係までお送りください。
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