▼業務上過失致死に問われた海自の2被告は無罪を主張した。南房総沖で起きた海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突し、漁船の父子2人が死亡した事故の横浜初公判
▼本紙でも詳細に報道したが、簡単に言えば、検察側が「見張り当直者の誤った引き継ぎで回避措置が遅くなった。交代した2人の過失の競合が事故を招いた」と指摘。弁護側は、検察側の清徳丸の航跡は間違いで「右転と加速をしなければあたごの後ろを通過し衝突しなかった」と全面対決に
▼既に開かれた海難審判では「主たる原因はあたごにあった」という裁決が出ているのに反抗した。公判ではどちらかの主張がウソになる。立証しようと双方から出された証拠は約200点。年明けまで慎重な審議が続く
▼当時の漁協組合長は「何で今になって漁船が悪いと主張するのか。裁決が正しい」。裁判を傍聴した父子の親類は無罪主張に「何を言っているんだ」と険しい表情を見せた
▼男気ある漁師。併走していた僚船として航跡も証言。それもウソと言うのだろうか。クジラとアジのような違い。小さい方が避けるべきという大きな奢おごりはそこにないか
▼事故後、漁港近くにダイビングの新たなポイントができた。悲しい涙の海も時の流れで変わるが、真実の航跡を示す清徳丸のGPS(衛星利用測位システム)は父子とともに海の中に眠る。