▼夜11時すぎ。家人が「部屋のエアコンから変な音がする」と、不安げな表情で呼びに来た。行ってみると「ミーン、ミンミンミン…」の大音響。窓ガラスの外側に張りついたミンミンゼミの鳴き声が反響していたらしい。窓をたたくと間もなく止んだ
▼照明で明るくなり、夜でもセミが鳴くようになったという。聞いてはいたが「こんな時間まで」と驚かされた。我が家の明かりが惑わせたと思うと、少し申し訳ない気分になった
▼セミには眼が五つある。顔の左右にある大きな眼(複眼)のほかに、間に三角形を形成するように三つ。この「単眼」で、露出計のように明暗を感知している
▼明るくなり、活動時間が伸びて、セミは喜んでいるのか、あるいは迷惑に感じているのか。自分に置き換えて考えると、ちょっと複雑な心境になった
▼セミの写真を見ていたら、特撮テレビ番組「ウルトラシリーズ」に登場した「バルタン星人」の顔が思い浮かんだ。目の配置やストローのような長い口(口吻(こうふん))はそっくり。“分身攻撃”が得意で「宇宙忍者」として人気があった
▼夏休みも残り1週間。子どもたちにとって宿題の進み具合が気になるころ。「“分身の術”が使えたら楽に片付けられるのに」。ウルトラ世代の多くは数十年前、そんなことを考えた。結局は、遊びやテレビの時間を削って、宿題に向き合うしかなかったが。