▼どこで暮らしているのか家族に聞いても分からず、安否さえ気遣われるお年寄りが相次ぐ中、民法上は15年前に死亡したとみなされていた男が、盗み目的で都内の花屋に侵入した容疑で警視庁に逮捕された
▼男は鹿児島県出身の63歳。家族の請求で昨年、家裁で失踪(しっそう)宣告が確定し、1995年にさかのぼって死亡とされた。男は取り調べに対して2000年以降、関東一円で200件以上の事務所、店舗荒らしを繰り返していたと供述している
▼男は家を出てしばらくは家族に連絡していたようだが、失踪宣告については知らなかったという。今回、生存が確認されたことで、戸籍は回復されようが、男が罪を償って社会に復帰しても、家族が受け入れてくれるだろうか
▼行き倒れの無縁仏を弔う市民グループがあることをテレビニュースで知った。関係者が、名前のない複数の骨壺を前に、ホームレスで亡くなる人の高齢化が目立つと話していたのも気がかりだ
▼行方不明のお年寄りが社会問題化している。家族、地域の絆(きずな)が希薄になったと言われて久しいが、子が親の生死すら知らないことなど、あってよかろうはずはない
▼東京都で最高齢のはずの119歳女性をはじめ、全国で100歳以上の所在不明者が優に50人を超えた。自治体が確認対象を90歳代、80歳代にまで広げたなら、いったいどれほどの数字になることか。そら恐ろしい。