▼郷里の親戚(せき)から“夏の定期便”、スイカが届いた。一抱えもある大玉が2個。ありがたいが、あいにく冷蔵庫がふさがっていて、まだ冷やせずにいる
▼「寄って、水菓子(果物)でも食って行け」。子どものころ、知った顔に会うと良く声を掛けてもらった。東北の郷里でのこと。おやつを兼ねた水分補給で、今の時期ならほとんどがスイカ。時に真桑瓜(まくわうり)(メロンの一種)や青リンゴのこともあった
▼山村では、冷蔵庫に入れることもない。野菜や果物は、掛け流しの湧(わ)き水に浮かべてあった。程よい冷え具合で食べやすい。おなかにも優しかった
▼青リンゴを店頭で見かけなくなって久しい。覚えているのは「祝(いわい)」という品種。ほのかな渋みを伴った独特の甘酸っぱさが清涼感をもたらし、渇きを癒やしてくれた。お盆のお供えとしても重用されていた
▼千葉市内でブドウ、ナシを栽培している観光農園を訪ねる機会があった。開園から約45年。いろんな品種を育ててきたが、今は「甘みの強い品種に人気が集中している」と経営者。豊かな香り、独特の食感など「個性的で魅力的な品種もある」が、採算ベースに乗らなければ消えていく
▼甘い果物は確かにおいしい。しかし「おいしさ=甘さ」ではないはず。酸味が強くても、苦みや渋みがあっても、忘れられない味がある。甘さ偏重で、個性的な品種がなくなっていくのは寂しい。