▼年に1度、たまらない郷愁にかられるのが7月中旬。千葉県在住が、生まれ育った北の国の2倍以上にもなり『身も心も千葉の人になっていなければならないのに…』と思いながら今年もふるさとの祭りのことを思い出していた
▼佐原など県内各地でにぎやかに夏祭りが行われ、これからの季節は夜空をあざむく花火大会がめじろ押し。県内にいても十分に夏のイベントを楽しめる。しかし、自身にとっての夏のハイライトは港の山車祭りなのだ
▼腹の底から突き上げるような大太鼓、小太鼓の響き。鉦(かね)と笛が絶妙の港ばやしを奏でる下座連。山車の後方は山と川を背景にした平安後期から戦国時代までのさまざまな勇壮な合戦場面を土人形3~4体が形成する
▼一目瞭然(りょうぜん)。こうして文章で説明するのももどかしい。20歳前後まではエネルギーと情念の源泉。宵宮と翌日の本祭りは山車のひき手として過ごすのが若者の決まり事になっていた
▼ビールは水代わり。酒は地酒。深夜、集合地点から各町内に山車をひいて帰るのが「戻り山車(やま)」。おはやしは哀愁を帯びたものに転調。ひき手は名残を惜しんで山車の進行を延ばしに延ばす
▼旧盆に帰省しても誰も喜ばず「何で祭りに来なかった」と、同期や同級生に叱(しか)られた若いころもあった。この仕事に就いてから祭りに出会えたのは1度しかない。今年も『ふるさとは遠くにありて…』。