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忙人寸語

2010年7月20日

▼通勤で利用する千葉駅近くの書店で、松本清張の『遭難』を買った。ぱらぱらと立ち読みしたところ、若いころ縦走した北アルプス後立山連峰が推理小説の舞台になっていたからだ

▼登山に出掛けた3人が遭難。そのうちの1人が疲労凍死した。その死をめぐり、はらはらどきどきの謎解きが始まる。そして意外な結末を迎える物語の続きは読者にお任せするとして、日本人は古来、山を尊びながら山とともに暮らしてきた

▼たくさんの作家や詩人たちも小説や紀行文、短歌の中で山をつづっている。富士山測候所での体験から山岳小説という新しい分野を開拓した新田次郎、山岳紀行を文学に昇華させた深田久弥、文壇登山の先駆的存在だった芥川龍之介、画帳を手に各地を歩き回った串田孫一

▼さらに石川啄木、田山花袋、幸田露伴、三好達治、井上靖といった人たちが多くの作品にその美しい姿を描き、読者を楽しませてくれている

▼先日、注文していた『日本アルプス-登山と冒険』と『日本アルプス再訪』が手元に届いた。著者はウォルター・ウェストン。登山がまだ大衆化される前、槍ケ岳や穂高岳に登り、著書を通じて日本アルプスを世界に紹介したイギリス人宣教師だ

▼「久しぶりに北アルプスを縦走しないか」。仲間に誘われた。3千メートルの峰に立てばウェストンが歩いた巨人たちが目の前だ。まもなく夏休み。心が踊る。

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