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忙人寸語

2010年7月7日

▼きょうは七夕。織り姫、ひこ星の伝説は、日本人ならだれもが知っている。ロマンチックな物語に思いをはせ、夏の星空を見上げた幼時の体験を持つ人も多いだろう

▼七夕で懐かしく思い出すのは、わらや草で作られた人形の「七夕馬」。かつては県内でも多くの地域で七夕馬を作る風習が広く行われていたようだが、残念なことに現代ではほとんど姿を消してしまった

▼筆者が育った時代、七夕の“主役”は既に、短冊を付けるササの飾りになってはいたが、一方で七夕馬もいまだ健在だった。七夕が近づくと、かわいい孫たちを喜ばせようと、見事な七夕馬を編み上げるお年寄りの姿がみられたものだ

▼お年寄りが手際よく作業を進める様子を、集まった近所の子どもたちは尊敬のまなざしで食い入るように見入っていた。しかし、お年寄りが丹精込めて作った七夕馬も、寿命はわずか一日。七夕の翌朝には、ササの飾りなどと一緒に川に流され、捨て去られる運命だった

▼なぜ馬の人形が、織り姫のロマンスに結びつくのか、考えてみれば不思議だ。旧暦で盆に数日先立つ七夕は本来、祖先慰霊行事の側面が強く、七夕馬も祖先の霊を乗せるものと民俗学では解釈する。やはりロマンスとは無縁だったようだ

▼梅雨空が続くが、今夜幸い晴れ間が見えたなら、せっかくの七夕だ。童心に帰り星空に願いごとの一つも唱えよう。

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