▼日だまりの中、庭の片隅でほころぶフクジュソウの黄色い花を見つけて心を和ませたのは1カ月以上前のことだった。「春告げ草」(梅)、「春告げ鳥」(ウグイス)と、春の使者はのどかさを象徴している
▼日ごとに春めいてきた。海では魚たちが季節感を演出している。東京湾奥で狙えるメバルは「春告げ魚」。1年中釣れるが、春から初夏にかけて旬を迎える。煮付けに絶品で「釣ってよし、食べてよし」の人気ぶり
▼魚編に春と書くサワラ(鰆)も、この季節を彩る魚として知られ、犬吠沖で入れ掛かりしている。太東港周辺では“エンピツサヨリ”の数釣りも。釣り人たちにとって、待望の水ぬるむ季節の到来だろう
▼まだ水温が低いため、好釣果を期待するならこれからが本番のようだ。釣りをしなくても、食卓の上に並ぶ旬の食材を食べながら季節を感じ取るのも楽しい
▼めぐる四季の一方で、氷河期が続くのが就職戦線だ。今春卒業予定の県内の高校生の就職内定率が、文部科学省の調査で前年同期を7・5%下回る74・8%だった。県内は72%。4人に1人が未定の厳しい状況にがくぜんとさせられる
▼デフレ不況から抜け出せない現在、うららかな春のイメージに浸ってもいられないのだろうか。寒さを耐えてふくらむ花木のつぼみが、若者たちの存在と重なり合う。新しい季節に、希望という言葉を託して。