▼「ウナギは泥から生じる」。古代ギリシャの哲学者、アリストテレスが唱えた自然発生説。多くのウナギをさばいても、卵や生殖器が見つからなかったため到達した推論だった
▼淡水域で成長した後、外洋を回遊、数千キロ離れた場所で産卵するウナギ。回遊中に生殖機能を備えるため、アリストテレスがどんなに頑張っても分からなかったのは仕方ない
▼「ウナギの先祖は深海魚」の速報展が千葉市中央区の県立中央博物館で開かれている。同館と東京大学海洋研究所の共同チームがまとめた成果。外見がよく似ているアナゴやウツボよりも、フクロウナギ、シギウナギなど深海魚と近縁にあることをDNA解析で突き止めた
▼共通の祖先が深海で生まれ、成長の場を栄養豊富な淡水に求めるグループがウナギに進化。産卵は今でも、外敵が少なく安全な“生まれ故郷”に帰って行う。そう考えれば理解しやすい-と同館研究員に解説してもらった。ウナギ大回遊の謎の一端が理解できた
▼「ニホンウナギ」の産卵場所が、マリアナ諸島沖の西部北太平洋と分かったのは1991年で、雄の成熟個体が見つかったのはわずか2年前。食材としてはなじみ深いウナギだが、生態にはまだ不明な点が多い
▼謎の解明は、養殖に必要な飼育条件の研究にも役立つ、と期待される。展示パネルや標本を見ながら、香ばしい蒲かば焼やきを思い浮かべた。