第180回通常国会が開幕した。野田佳彦首相が税と社会保障の一体改革に伴う消費税増税に向けて野党に協議入りを呼び掛ける一方、野党第1党の自民は衆院解散に追い込む方針を打ち出している。波乱含みの展開も予想されるが、長い「政治停滞」に国民の厳しい視線が注がれていることを与野党議員ともに忘れてはならない。
24日の施政方針演説で、野田佳彦首相は国政の重要課題を先送りしてきた「決められない政治」からの脱却を目指すことを強調。さらに、「日本が直面する課題を真正面から議論し、議論を通じて具体的な処方箋を作り上げ実行に移そう。今こそ政局ではなく大局を見据えよう」と協力を呼び掛けた。
衆院で与党、参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」において、持続可能な社会保障制度実現へ消費税増税の関連法案成立には自民、公明の協力が不可欠。だが、呼び掛けに野党は「(増税はしないという)公約への反省が全くない」「美辞麗句で増税を正当化しようとしている」などと冷ややかだ。
高齢社会の中で、社会保障費は年間約1兆円も増え続けている。今国会で審議される2012年度一般会計予算案90兆3339億円のうち、税収は42兆3460億円。国債依存度は49%に上っている。
増え続ける国の借金は本年度末には約1千兆円に達する見通しで、財政状況は先進国の中で最悪の水準にある。政府は消費税率を15年10月に10%まで引き上げても、財政黒字化にはさらに6%相当(16・6兆円)不足すると試算している。
危機的な財政に加え、東日本大震災からの復旧復興も進めなければならない状況にもかかわらず、ねじれ国会で政策実現に遅れが生じている。
社会保障と税の一体改革は国民生活に直結する問題であり、野党が協議にも応じないのは責任放棄ではないのか。反対ならば国会で反論し、対案を出すべきだ。国難の時代の「決められない政治」には、与党だけでなく野党の責任も問われよう。
野田政権は正念場を迎えている。一体改革に対する国民への説明も、身を切る取り組みもまだ不十分だ。民主党内にも増税慎重論は根強い。党内が一致しなければ、野党の協力を得るのも難しいのではないか。