千産千消。あらためて記すまでもないが、千葉の農海産物を千葉で消費するという行政の“理想”だ。しかし、実際はほど遠い。巨大消費市場の東京に目が向いた流通システムにより、外房名産のイセエビやアワビが半島を縦横断し、広く県民の食卓に上ることはない。高級イタリア料理の食材となるホウボウも、理想からもれた逸品だろう。釣り情報の取材で尺越えの良型が数上がっているというのに、悔しいかぎりだ。
この魚、胸びれ前部にある鰭条(きじょう)の変形した3本の指状物で海底を歩くそうだから、グロな見た目と併せてユニークなヤツなのだ。ただし巻き骨は焼くと食べづらい。よって新鮮の刺し身か熟成のスープで煮込むのが、経験からベターである。癖のない白身がアサリの上質なスープを吸って、骨からハラリとほぐれる。トロリとした皮もいける。これは“地場酌”としめる。
理想がなかなか現実化しないもどかしさ。「国民の盛衰はその食べ方のいかんによる」。フランスの食通として世界的に知られたブリア・サヴァランの言葉が耳に痛い。
【材料(2人分)】ホウボウ2匹、アサリ200グラム、ミニトマト12個、ニンニク1片、オリーブオイル大さじ2、白ワイン200ミリリットル、水100ミリリットル、塩、コショウ、パセリ適宜。
【作り方】
(1)ホウボウはエラ、ワタを取り2等分する。
(2)厚手の鍋にオリーブオイル、薄切りニンニクを入れ弱火で香りを出す。
(3)強火で魚の表面をこんがりと焼き、アサリ、白ワインを入れて蒸し焼き。
(4)水、ミニトマトを入れ、ひと煮立ちさせ塩、コショウで味を整える。
(5)皿に盛り付け、パセリのみじん切りをかける。