この企画も早いもので1年が過ぎると、愛読の諸兄姉から「試したら上手にできた」などの喜びの声と同時に次の趣向を尋ねられる。よって普段から旬の魚に目を光らせ、考えを働かせる努力を要するが、期待してくれる舌には大満足をもって応えたい。
今回は前年の同じ月に扱ったキンメダイを「しゃぶしゃぶ」から「煮付け」にした。料理方法を変えることで、食材の持ち味は一変する。近ごろは、このごくありふれた家庭料理が、ちょっと小ぎれいな東京・銀座辺りの飲み屋で3000円程度の品書きが掛かっていて、驚かされる。
房総の海では数釣れており、地魚を扱う勉強熱心な店では尺超え1000円以下もしばしば。今回の仕入れは勝浦産980円。まあ格安でキンメを堪能できなければ、千葉に住んでいる地の利の一つを失うというものだ。
身の脂と厚みに負けないように、味付けはやや濃いめの甘辛がよい。皮との境にうま味が凝縮する。また目の周りのゼラチン質はコラーゲンたっぷりで、世の女性陣が気にする美肌に効果てきめん。同じ食材ということで“再酌”とした。
【材料(2~3人分)】
キンメダイ半身、だし汁200ミリリットル、酒大さじ2、砂糖同2、しょうゆ同2。
【作り方】
(1)半身は適当な大きさに切り、塩、酒(分量外)をふりかけ約30分おく。
(2)熱湯を回しかけ、ウロコ、血合いを水で洗い流す。
(3)鍋にだし汁、酒、砂糖、しょうゆを入れ、ひと煮立ちさせキンメを並べ入れる。
(4)落としぶたをし、煮汁が半量になるまで中火で約15分煮る。
(5)弱火にし、煮汁をキンメに回しかけ照りを出す。