魚食堂

なにもかも生きている 海鮮寄せ鍋


 「なべ料理ほど新鮮さの感じられる料理はない」。食の巨人・北大路魯山人が著書「魯山人味道」(中公文庫)で断言する。そのわけを「最初から最後まで(中略)自分で工夫して、加減をしてやるのだから、なにもかもが生きている」と説く。さて新鮮の大事である材料がそろったゆえ、冬の家庭で最も喜ばれる料理といこうか。

 舞台(鍋)の主役は広島産カキ。北海道産スケトウダラとオスのマダラの精巣である白子が脇を固め、レタスなどの鮮菜が端役を務める。うむ、われながら実にみごとな配役だ。練製品の原料などに使われるスケトウはマダラより味は落ちるが、安価なところが狙い目。ほぐれやすく癖のない身肉が気に入っている。

 白子は昆布だしの中で菊の花を開く。味はこれぞ「ミルキー」が最適な表現。主役のカキはプリッとした絶品芸で舌を楽しませる。だしを吸う野菜は、だしを出す魚介と交互に入れるのがよろしい。レタスはシャキッとした歯応えを残す。

 つけだれは、しょうゆに伊豆産ユズを搾って七味とネギを少々。風味の中に「生きている」食材をくぐらせて、“鮮酌”と合わせる。

 【材料(2人分)】

スケトウダラ1匹、カキ・白子各300グラム、レタス、ネギ、シイタケ、ニンジン、ユズ、七味各適宜、だし昆布10センチ、酒100ミリリットル。

 【作り方】

(1)スケトウダラはぶつ切りにし、熱湯を回し掛け霜降りする。
(2)カキは塩でもみ、水洗い。白子は海水程度の塩水で洗う。
(3)土鍋に水、酒、だし昆布を入れ火にかける。煮立ち始めたら昆布を取り出し、(1)(2)を入れる。
(4)魚介に火が通ったら、野菜を入れる。


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