魚食堂

肝心は意外にノリ ハマグリご飯


ハマグリご飯

 「これは蛤(はまぐり)を仕立てた汁で飯をたきあげ、引きあげておいた蛤は剥身(むきみ)にして飯にまぜ入れ、食べるときはもみ海苔(のり)をふりかける。これも小兵衛の大好物だ」(池波正太郎著「剣客商売二辻斬り」より)。

 小説に料理を登場させるのは季節感を出すため、と池波(1923~90年)が雑誌か何かのインタビューに答えていたのを読んだ記憶がある。素っ気ない物言いだが、作家の食通は衆目の一致するところ。映画試写会の行き帰りに立ち寄った名店の数々を記したエッセーは愛読書だ。「筆舌に尽くしがたいうまさ」と安易な表現を使わず、そこには五感を使った健筆があり、見習うところが多い。

 さて、この料理の肝心は意外にもノリ。軽く火であぶったノリを「必ず手でもんで」ふりかけるのだ。すると飯から立ち上る白い湯気にのって、磯の香りが鼻孔をくすぐる。ハマグリとノリと飯を箸(はし)で調和よく持ち上げてほお張る。グニャ、パリッ、モッチリ。三種の食感と味がたまらない。むろん、しめの飯を念頭に“適酌”とするのがよい。

 【材料(2~3人分)】
ハマグリ300グラム、米2合、水300ミリリットル、酒大さじ2、薄口しょうゆ同1、塩小さじ1、ノリ適宜。

 【作り方】
(1)米は研いでザルにあげておく。ハマグリは砂をはかせた後、水でよく洗う。

(2)鍋に水、酒、ハマグリを入れ火にかける。口が開いたら取り出し身を外しておく。

(3)(2)のだし汁はアクを取り、薄口しょうゆ、塩で味を調える。

(4)炊飯器に米とだし汁を入れて固めに炊く。

(5)炊き上がったご飯にハマグリをまぜ合わせ、もみノリを散らす。


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