私の小倉台日記

■プロフィール
勝山朗子(かつやま・あきこ)
  小説家、エッセイスト。房総文化懇話会会員。文学サークル『槙』同人。共著に『千葉児童文学選集』『槙・文学選集1・2・3』『何がそんなに…』など。千葉市在住。


痛みをともに


 私の家から小倉台のスーパーまで徒歩三分である。玄関を出てモノレール通りにでるまで一分。通りを渡ってスーパーまで二分という近さだ。

 その三分が、足腰が痛いと遠く感じる。変形性股関節症と脊柱管狭窄症で徒歩がつらい。不思議なことに自転車に乗ると少しも痛くない。だから例え三分でも自転車に乗る。しかし、その自転車が危ない。左足が麻痺しているから上げたつもりの足が上がっていなかったり、サドルに乗ったつもりのお尻が乗っていなかったりで、最近三回転んだ。幸い歩道の縁の植え込みに突っ込んだのでけがはなかったが。

 ある日、スーパーの自転車置き場で「痛いっ、痛たた」と声を上げてしまった。私の自転車の隣で荷物を積んでいた見知らぬ奥さんが「痛いですか?」と微笑んだ。その笑顔につられて「はい、痛いです」と答えると「痛いことなら私に聞いてください。経験者ですから大抵のことは分かります。五丁目のGです」と電話番号を言うと自転車で去っていった。その後ろ姿を見ながら「おかしな人…」と私は思った。数字は覚えられない私だが、その人の電話番号は忘れなかった。人懐こい目と、よくとおる声が印象に残っていた。

 いよいよ日常の生活がつらくなって、どうにかしなければなるまい、と思いはじめていた。手術は最後の手段だと医者に言われていたから、手術の前にブロック注射というものをすることになっている。ただ、それをいつするか。私が決心して予約を申し込めば決まることだ。そして外来診察の日、医者の質問に答えていくと「三月に入って超がつく痛さ」「座薬は毎日使っていても効かない」「十五分も歩けない」「家の中で足を着くだけでも痛い」と、こうなった。

 ついに即、十日間の入院が決まった。十日の間でブロック注射を何本か打つのだが、「一本で痛みが消える人がいたり、三本目で効く人がいたりする。三本打っても効かずに五本打って効いた人がいる」と医者は事もなげに言う。「ま、しかし、ブロック注射は治療ではありませんからね。検査のために打つのですから、そのための入院です」そう念を押された。検査でも何でもいい。その注射で良い方向に向いてくれればいい。

 脊柱管狭窄症の手術をした友人に電話したり、ネットで調べたりと情報を集めた。...


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