私の小倉台日記

■プロフィール
勝山朗子(かつやま・あきこ)
  小説家、エッセイスト。房総文化懇話会会員。文学サークル『槙』同人。共著に『千葉児童文学選集』『槙・文学選集1・2・3』『何がそんなに…』など。千葉市在住。


いいうんち


 私は朝起きると一番にコマのうんちを始末する。可愛い猫のことだから、うんちであっても何の抵抗も感じない。

 コマにはトイレが二つある。一つは子猫のころコマをわが家へ連れてきた人が「爪とぎ」の箱や餌と一緒にトイレまで添えて持ってきてくれたものだ。もう一つは一年を過ぎたので大人用の大きいものを買い、別々の場所に置いてある。天気のよい日は日光消毒のためトイレの砂を交互にベランダに出している。

 最近コマのうんちがビー玉ぐらいの大きさでコロコロしている。猫の参考書によると、理想的なうんちは人間の手の指ぐらいの太さと長さが二本だそうである。

 「ほら、兎のうんちみたいのはいけないのよ。もっと水を飲まなくちゃだめよ」と言い聞かせている。そして、ついでに夫にも言う。「あなたももっと水分を摂らないと血液どろどろになりますよ」と、しょうが湯の入った茶碗を夫の目の前に置く。

 「さっきから、うんちうんちと言ってるけど、うんこと言えよ。柔らかそうで汚く聞こえるよ」「私は子供のときからうんちでした。うんこって言うと固そうでいやだわ。それに、うんちの方が上品でしょ」「大便に上品も下品もないだろう」

 夫も私も子供のときは東京で育ったから、この言い方の違いは何だろう。男の子と女の子の違いだろうか。

 そこで方言を調べてみた。まんぐ(静岡)ぽん(四国)ばば(紀州)ばっこ(福島)その他、くそ、あっぽ、などがあるようだ。うんこという漢字は「雲古」と当てるそうだが、うんちはどんな漢字を当てるのだろうか。

 幼児のころは「うんち出たよう」とトイレで母親を呼ぶ。母親は「まあ、いいうんちが出たわねえ」と、褒めたり喜んだりする。小学校へ上がって三年生ぐらいまでは、うんちの話は平気、むしろ大好きなくらいだ。

 先日、小倉台の保育園で人形劇団「紙ふうせん」が、うんちの話をした。そのときの園児たちの喜びようはなかった。声を張り上げてはしゃいでいる。ボードに次つぎに貼られていく動物たちの便の形を見て、何の動物の便か当てるのだ。人間の大便がボードに出たときは「うんちぃ!」と、興奮は頂点に達した。

 ところが、そんなに大好きなうんちの話も小学校高学年になると、うんちは恥ずかしいこと、くさいこと、迷惑なことに変わってしまう。だから今の子は学校でトイレに行かないそうだ。・・・


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