私の小倉台日記

■プロフィール
勝山朗子(かつやま・あきこ)
  小説家、エッセイスト。房総文化懇話会会員。文学サークル『槙』同人。共著に『千葉児童文学選集』『槙・文学選集1・2・3』『何がそんなに…』など。千葉市在住。


人形劇「紙ふうせん」


 近所の小倉台保育所で人形劇を見てきた。

 そう妹に話すと妹は「息子が幼稚園のときに一緒に見た」と言う。「若い人たちが黒い服を着て、黒い布で顔を覆って、黒い布を張り巡らした舞台で、こうやって…」と腕を高く上げて見せた。そして「私が見たのと同じ劇団かしら。若い人たちでしょう?」と昔を思う顔になった。しかし息子が幼稚園のころなら三十年は経っている。三十年前とはメンバーも何人かは入れ替わっているだろうし、若い人も三十年経てば…。「あなたぐらいの年齢の人たちよ」と答える。

 千葉市立小倉台保育所で見たのは「紙ふうせん」という千葉県では名の通った劇団だ。結成三十八年になる。毎年、保育所や幼稚園からの依頼を受けて、年間四十公演ほどをこなしている。ということは一か月に三回以上は八人で出張公演をしている。公演のないときは、脚本や人形の制作に忙しい。実に精力的な劇団である。

 その日の出し物は「積み木でマンボ」「ト、ト、トイレ」「おたまじゃくし海へ行く」の三本立てだった。まず最初に三角、四角、丸の形をした積み木が舞台に並ぶと園児たちは口々に「積み木だぁ」と喜ぶ。積み木がマンボの曲に乗って跳ねれば園児たちも腕を振り上げてマンボの曲に合わせる。中には立ち上がる子もいれば今にも跳ね上がりそうな子もいる。

 次の舞台の用意ができるまでの間、ホワイトボードを使って劇団員が園児たちと対話をする。「これ、なぁーんだ?」という問いに「葉っぱ!」と答える元気な声。ボードに貼り付けた茶色い小さな絵は確かに枯れ葉に見える。「虫!」と答えた子もいる。「これは?」丸いもっと小さな黒いもの。「石だ」。それらは全部、動物の糞だった。「じゃあ、これは?」「うんち!」子供たちは大喜び。明確に人間の便の形をしている。「うんちをしたらトイレの水を流しますね?」「はーい」と元気な返事。そこで「ト、ト、トイレ」の歌になる。「♪流~せ流~せ♪」と声を揃えて楽しそうだ。

 「おたまじゃくし海へ行く」では、園児たちの興奮の度合いもクライマックスになる。ピンク、黄、黄緑の色をしたおたまじゃくしが登場すると、待ってましたとばかりに拍手が起こった。「ぼくたち大きくなったら何になるんだろう?」この疑問を解くために三匹のおたまじゃくしは川をのぼって行く。途中で出会ったカエルのおばさんに「あなたたちは大きくなったらカエルになる」と教わっても「似ていないもん」と信じない。・・・


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