私の小倉台日記

■プロフィール
勝山朗子(かつやま・あきこ)
  小説家、エッセイスト。房総文化懇話会会員。文学サークル『槙』同人。共著に『千葉児童文学選集』『槙・文学選集1・2・3』『何がそんなに…』など。千葉市在住。


仲間たち


 その新年会は楽しいような気がしていた。

 日常とは違う場所にいるのだし、料理も普段、私が作るのとは違って品数が多い。

 全員で乾杯をして、今年がよい年であるようにと願ったのだから、大丈夫、よい年になるはずだ。

 お酒が入ると皆の話し声が大きくなり、笑い声も飛び交う。しかし私には屈託があった。賑やかな中で寂しかった。屈託と寂しさを紛らすために、ジュースの中にビールを混ぜてみた。景気をつけなきゃあ、と思う。話を聞いているだけでなく何かしゃべらなくては、と思う。が何となく虚しい。

 宴もたけなわになり一人一人が今年の抱負を話すことになった。本を自費出版する人もいれば、○○賞に応募する人もいる。現在三百枚を書いている人もいれば、次号の同人誌に掲載するものが書き終った人もいる。書き終わってはいなくとも進行中の人もいる。さて、私の計画を言う番だ。私の口から出た言葉は自分でも思いもよらないものだった。

 「もう、小倉台日記を本にするなんてことは言いません。毎年毎年、今年こそ出しますなどと言っていながら横着しているのですから、もう言いません。本当にその気になっていないのでしょう」などと他人事のような言い方をした。そして愚痴めいたことがポロリとこぼれた。

 まずい、皆が楽しんでいる新年会にこれはまずい。作り笑いをした顔がこわばった。

 会員のうち六十代は若いほうで、ほとんどが七十歳を過ぎている。連れ合いを亡くした人もいる。

 年をとれば、どこかが健全ではなくなることを皆は承知しているから、それぞれにうなずいた。「介護されている人より介護している人のほうが、疲れて先に参ってしまう話をよく聞くから気をつけて」そう言う表情や声に親身さが滲んでいる。または「外出できるものなら、なるべく、こういう会に出てくるように」などと口々に力づけてくれる。中でも勇気づけられたのは「消極的に考えないほうがいいよ。今日、ここへ来られたことの幸せを思わなくちゃ」という言葉だった。・・・


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