私の小倉台日記

■プロフィール
勝山朗子(かつやま・あきこ)
  小説家、エッセイスト。房総文化懇話会会員。文学サークル『槙』同人。共著に『千葉児童文学選集』『槙・文学選集1・2・3』『何がそんなに…』など。千葉市在住。


猫と枕


 わが家には眠ってばかりいる男性がいる。

 体の具合が悪いのだから仕方がないのだが、猫のコマとどっちが多く眠るかと時どき比べてしまう。猫のコマは大体十九時間は眠っているから似たようなものだ。

 その男性に朝は朝食を、昼は昼食を枕元に運ぶと食べるときもあれば眠ってしまって忘れたままになっているときもある。夕食ぐらいは一緒に食べましょうと言うと、六時ごろ起きてくる。

 そして「夕べは寝なかったの?こんなに早くから起きて何してるの?」と不思議がる。「今は夕方の六時だから、これから夕食よ」と、すぐ食事にかかる。

 「うまかった!」と毎晩言ってくれるからありがたい。この状態で食欲がなくなったら寂しい。そして食べるとすぐ茶の間でごろりと横になる。

 彼が寝るとコマが待っていたように添い寝をする。私はいつも不思議に思う。猫という動物は(コマしか知らないが)どうして枕を必要とするのだろう。ごろりと横になる人がいれば行ってその腕を枕にし、ユズのママレードを作っている人がいれば行ってそのひざを枕にする。

 そもそも人間には肩があるからこそ、寝転がった場合に頭の置き場所に困るのだ。わが家のすぐ横になる人は、手を延ばせば届く物でさえ「取って」と言う人だ。であるから、ごろりと横になってしまうと肩より低い位置に頭が落ちてしまって「取って、取って、枕、枕」と喘ぐことになる。

 そのように枕が必要なのは人間なのであって、猫がどうして枕が必要なのか私には分からない。猫は肩がないではないか。顔と同じ幅の首をもち、その首と同じ幅の筋肉が前足の付け根へと続く。肩がないから頭さえ通れば狭いドアの隙間でさえ難なく通り抜けてしまう。肩がないから体をくるりと丸くすることもできて、頭がどこかへ落ちてしまうことなどない。つまり、わざわざ枕なんかしなくてもいいのである。・・・


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