昨年暮れにハツラツ座の朗読発表会を見た。
ハツラツ座、名前の通りに座員は皆元気はつらつとしている。年齢を伺って驚いた。九十歳、九十六歳が生き生きとしている。八十歳など若い若い。
舞台の始まる前に練習風景を見た。指導者の加形ふみ子先生は実にうまく指導している。明るく満面の笑みで座員の一人ひとりの良いところを褒めている。「はい、そうですよぅ。いい声が出ていますよ」「ここは心の中で思っているところですけど、観客の皆さんによく聞こえるようにお腹から声を出しましょうね」という具合だ。
ハツラツ座とは「ケアハウス・はつらつ浜野」の中にある文化活動のひとつ、朗読の会の名称である。朗読のほかに園芸、詩吟、ちぎり絵、短歌、習字、手芸など、たくさんのサークルがある。
その日のハツラツ座の出演は八名だった。全員が腰掛けたままである。まず朗読を始める前に、良い声が出るように上半身の体操や深呼吸をする。観客も一緒に和気あいあいの中で体をほぐす。
宮澤賢治の「雨にも負けず」を、合唱でいえば輪唱のように朗読した。「行って怖がらなくてもいいと言い」というところなどはホロリとした。本当にその年齢の人にそう言われたら安心するだろう、と思ったのだ。
いよいよメーン・イベントの民話「子育て幽霊」(脚本・岡崎柾男)が始まった。
山奥の人里離れたところに一軒の小さな店がある。夕方になり雪が降り出した。そこへ道に迷った女が来る。店のお婆さんは「雪女」かとびっくりする。みれば女はお腹が大きい。泊めてあげた晩、女は赤ん坊を産んだ。しかし女は死んだ。
お婆さんは途方に暮れるが、寺の和尚さんが育ててくれることになった。お婆さんは女の棺に六文のお金を入れる。それは死んだ人が七日目に三途の川を渡るときに必要な渡し賃だ。ところが六日間、夕方になると一文ずつ飴玉を買いにくる女がいた。女はこの世に残した赤ん坊が心配で、なかなか成仏できないでいる母親だった。
この朗読をするメンバーは実に名優だった。親の気持ち、母の感情がよく表現されていて胸を打った。私は最初に拍手をし、最後まで大きく拍手をしていた。・・・