私の小倉台日記

■プロフィール
勝山朗子(かつやま・あきこ)
  小説家、エッセイスト。房総文化懇話会会員。文学サークル『槙』同人。共著に『千葉児童文学選集』『槙・文学選集1・2・3』『何がそんなに…』など。千葉市在住。


豹変に注意


 「モッテイカレチャウ」。セキセイインコのジュゲムが繰り返して言っている。

 何のことか。ジュゲムは頭がいい。私がいつか言った言葉を覚えてしまう。それにしても、あまり感じのいい言葉ではない。財産をだれかに持っていかれる、という韓国ドラマを見ているところだが、そんなことを私は言ったのだろうか。

 「モッテイカレチャウ。アア、マタ モッテイカレチャッタ」そこまで聞いて思い当たった。何ヵ月も前のこと、庭の餌台にシジュウカラやウグイスのためにパンくずや、ご飯の残りなどを乗せてやっていた。するとお目当ての小鳥より、ヒヨドリやムクドリなどの大きな鳥たちがどっと来てほとんど全部、細かく刻んだリンゴの皮なども持って行ってしまったことがある。そのとき庭を見ながら私が呟いた言葉だった。ジュゲムはわが家へ来て七年。何ヵ月前、何年前に覚えた言葉でもしゃべる。

 続けて「コマチャン、イイコネェ、チョウカワイイ」と言った。コマとは今年二月からわが家に来た猫のことである。ジュゲムは、自分がそう言われているのであって、主語をコマに置き替えてチョウカワイイと言っている。そして「オスワリ!」とも言う。私がコマに一日に二度「お座り、握手」をしてから餌を与えるからである。コマは私には「お座り」をするがジュゲムの言うことは言葉として聞いていない。

 コマがわが家に来たばかりのころは、動くジュゲムに興味をもって鳥かごに飛びついた。二、三度近寄ったが、その度に叱ったので現在は見ているだけになった。鳥かごを畳に置いてあるので、極めて至近距離である。危険を避ける意味で鳥かごの一方をガラス戸に、もう一方をソファーに密着させてある。するとソファーの上に寝そべったコマが凝視している。そしてその姿勢のまま眠ってしまう。また目を覚まし凝視を続ける。

 その様子を偶然に見た妹は「眠ったふりして狙っているんじゃないの? 大丈夫?」と落ち着かない。「大丈夫。ジュゲムが殺気を感じていないから。殺気を感じれば怖がって羽をばたばたさせるでしょう」と答える。

 テレビで見た番組に、セキセイインコが歩いている猫の背中に乗っていた。インコは猫が眠ると「ニャアー、ニャアー」と口まねをして猫の耳を突付いて起こす。仕方なく猫は両手を使ってインコを遊ばせていた。あんなことが実際にあるのだ!・・・


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