1992年にウィーンで世界初演された「エリザベート」(脚本・作詞=ミヒャエル・クンツェ、作曲=シルヴェスター・リーヴァイ)は日本と欧州では大人気だ。英米のミュージカルと違って、各国の諸事的事情によりその国のヴァージョンが創作されること、これがウィーンミュージカルの懐の深いところである。日本初演は1996年の宝塚版だ。その後、東宝版が2000年に初演され、今年はちょうど10年目。宝塚版初演に新しく書き下ろされた♪『愛のテーマ~愛と死の輪舞』は東宝版でも使われ、この曲を取り入れている国もある。また、オーストリアとハンガリーの歴史的関係は日本には馴染みがないので、オリジナル版には登場しないハンガリーの革命家たちが宝塚版や東宝版には登場する。そして、皇子ルドルフの死に関して、オリジナル版は心中事件として色濃く匂わせているが、宝塚・東宝版は、ハンガリーの独立に関与した皇子が、父のヨーゼフ皇帝と対立し、その苦悩と葛藤によって、自死に追い詰められたという解釈だ。宝塚・東宝版ともに演出・訳詩は小池修一郎。両版にも違いがあるから奥が深い。
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1898年、オーストリア皇后エリザベート(朝海ひかる/瀬奈じゅん)は無政府主義者(高嶋政宏)にレマン湖のほとりで暗殺された。それは、600年も続いたハプスブルグ帝国の黄昏を象徴するものだった。
…遡ってエリザベートの少女時代。シシーと呼ばれた彼女は、ある日ブランコから落ちた。そこに黄泉の国の死神トート(山口祐一郎/石丸幹二/城田優)が現われ、シシーに心を奪われる。トートに愛された彼女は、その後、死と隣り合わせの人生を余儀なくされる。だが、彼女は見初められた皇帝フランツ・ヨーゼフ(石川禅)と結婚、帝国の後継者である皇子ルドルフ(浦井健治(10月から登場)/伊礼彼方/田代万里生)を授かる。しかし、皇帝の母(寿ひずる/杜けあき)に愛する皇子を奪われる。悲嘆のエリザベート。唯一の相談相手である皇帝は多忙の身でかまってくれない。…独り…。深まる彼女の孤独が国を揺るがすほどの浪費へと繋がるのだった。ミルクにも事欠く民衆、その怒りが頂点に達した1867年、皇帝はハンガリーが大好きな彼女の意を汲んで、オーストリア=ハンガリー帝国を樹立。国王夫妻となる。エリザベートの絶頂期だ。
これを機に、死神トートの愛の反撃が始まる。まず、エリザベートを放浪の旅に誘い、息子ルドルフに接近。自ら命を断つように仕向ける。そして1889年、ルドルフは拳銃自殺。絶望の淵に追いやられた彼女は、ついにトートに救いの手を求める…。運命の日が訪れるのだった。
【メモ】10月30日(土)まで帝国劇場で絶賛上演中。問い合わせは東宝テレザーブ、電話03-3201-7777。