風薫る五月。千葉の里山は、まるで黄緑色のこんもりしたブロッコリーが折り重なっているように見える。さて、ゴールデンウィーク、老若男女が楽しめるミュージカルといえば「サウンド・オブ・ミュージック」。東京五輪の翌1965年の初夏に封切られた同名映画は、またたくまに日本列島を♪「ドレミの歌」(作曲=リチャード・ロジャース、作詞=オスカー・ハマースタインII世、訳詞=ペギー葉山)で包んだ。オープニングの空の青さ、美しいアルプス、緑の草原に度肝を抜かれた人も多いはず…。でもこの作品、実は舞台が先だ。1959年、ブロードウェーで初演され大ヒット、日本上陸は映画公開と同年で、映画も舞台も大評判を呼んだ。その後、何度も上演されたが、今、劇団四季が上演中のバージョンは、それらとは異なる。「キャッツ」「オペラ座の怪人」の天才作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーが自らプロデュースし、2006年に英国で再演された最新版だ。
≪ナチスがオーストリアを併合しようとした1938年、音楽の都ザルツブルグ(塩の城という意)。妻を亡くしたトラップ大佐(芝清道)には七人の子どもが残された。家庭教師として修道院から派遣されたのがマリア(笠松はる)だ。規律一辺倒の大佐に対して、マリアは自由奔放。やがて子どもたちに笑顔と歌声が戻り、大佐は彼女に感謝の念を持つようになる。そんなある日、大佐は婚約者エルザ(坂本里咲)と音楽プロデューサーのマックス(勅使瓦武志)を連れてきた。大佐に好意を抱き始めていたマリアは修道院に戻るのだった。しかし子どもたちのたっての願いと修道院長(秋山知子)の勧めで再びトラップ家へ。一方、エルザと大佐の間には溝が生まれ破局…。子供たちに祝福された大佐とマリアは結婚し新婚旅行へ。その間、マックスは子どもたちを音楽祭に出場させようと躍起だ。音楽祭当日、運悪く夫妻が帰還。大佐は激怒。しかし反ナチ派の大佐に召集令状が来て、トラップ家に暗雲が…。その時マックスは一世一代の芝居を打つ…。≫
歴史的背景がくっきりしたことが最新版の特徴だ。たとえば婚約者エルザがなぜトラップ大佐のもとを去ったのか。従来版では、大佐とマリアの気持ちに気づいたエルザが自ら身を引くという形だった。ところが最新版では、エルザはナチスの信奉者で、大佐との間に政治的信条の違いが生じ破局となっている。腑に落ちる。...
【メモ】四季劇場「秋」(東京・浜松町)でロングラン上演中。問い合わせは劇団四季予約センター、電話0120-489444(ヨヤクシヨーヨ)。