御木平輔のミュージカルランド

■プロフィール
 御木平輔(みき・へいすけ) 音楽専門誌「ミュージックフォーラム」編集代表。主な著書は『ミュージカル手帳』(心交社)、「宝塚歌劇名作・傑作全演目事典平成編(講談社)、「新ミュージカル手帳」(心交社)、「ひばり模様」(七賢出版)など多数。南房総市千倉町のかやぶき屋根の家に住んでいる。


名作映画、初のミュージカル化 大空祐飛が「男のなかの男」創造!! カサブランカ(宝塚・宙組)


 南房総は菜の花や水仙などで賑わいを見せている。まさに春。さて宝塚も、見ごたえのある作品が登場し、劇場が沸いている。その名は「カサブランカ」。原作となった映画(1942年)は不朽の名作。ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンの世紀のロマンス、♪「AsTimeGoesBy」(時の過ぎゆくまま)の美しく切ないメロディー、「君の瞳に乾杯!」などの名台詞…と見どころ満載だ。その名作がミュージカルとなった。世界初である。脚本・演出は小池修一郎。

 ≪1941年、大戦下の仏領モロッコ・カサブランカ。ナチスドイツの占領を逃れ、アメリカへ亡命する人々で街は大賑い。クラブを経営するのがアメリカ人のリック(大空祐飛)。店は亡命者たちの溜まり場だ。そこへ反ナチ活動家ラズロ(蘭寿とむ)が現れる。ビザを入手するために。ラズロから妻だと紹介された女性を見てリックは驚く。かつてパリにいたとき愛し合ったイルザ(野々すみ花)その人だ。彼女はリックとパリ脱出を誓いながら、なぜか消息を絶った。…運命の悪戯か、思いがけない再会に互いの想いがこみ上げる。だがリックは愛のために、フランス人警視総監ルノー(北翔海莉)を巻き込み、奇策を弄するのだった≫。

 小池修一郎の腕が冴えわたる。名作映画とがっぷり四つに組んで、それを上回る名作ミュージカルを生み出した。映画ならば、苦み走ったリックの表情をアップで表現できる。舞台ではどうか。映画にはないオリジナルナンバー、たとえば♪「本当の俺」(詞・小池修一郎、曲・太田健)に、そのリックの心情を盛り込み、新トップの大空に託した。これが大成功。宝塚の男役トップは大別すると太陽と月。大空は後者である。大空は独特のバイブレーションと背中から哀愁が滲み出るクールさで「男のなかの男」を創造。まさにはまり役。同じ女性を愛したもうひとりの男ラズロを演じた蘭寿。二幕冒頭、命ある限り闘い続けようと人々に呼びかける♪「我々は生きている」で圧倒的な存在感を示した。また、ラズロの歌をオウム返しで歌うアンサンブルの迫力も、ミュージカルならではだ。

 【メモ】2月7日(日)まで東京宝塚劇場で絶賛上演中。問い合せは同劇場、電話03-5251-2001。


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