御木平輔のミュージカルランド

■プロフィール
 御木平輔(みき・へいすけ) 音楽専門誌「ミュージックフォーラム」編集代表。主な著書は『ミュージカル手帳』(心交社)、「宝塚歌劇名作・傑作全演目事典平成編(講談社)、「新ミュージカル手帳」(心交社)、「ひばり模様」(七賢出版)など多数。南房総市千倉町のかやぶき屋根の家に住んでいる。


秀作目立った宝塚


「アベニューQ」の一場面。撮影:伊ヶ崎忍。12月26日(日)まで有楽町・東京国際フォーラムホールCで絶賛上演中。問い合わせはキョードー東京、電話0570-064-708

 南房総では水仙が咲き、タケノコも芽を出し始めた。もう春を告げている。では、今年の日本のミュージカル界を振り返ってみよう。

■今年、初演された日本のオリジナルミュージカル
 宝塚歌劇団に秀作が目立った。名作映画の世界初のミュージカル化を果たしたのが「カサブランカ」(脚本・演出‥小池修一郎)と「麗しのサブリナ」(脚本・演出‥中村暁)。前者は映画より時代背景が明確に描かれドラマのフレームが骨太に。後者は歌とダンスが加味されて映画よりもドラマにアクセントがついた。宝塚の新作では「ハプスブルクの宝剣」。藤本ひとみの長編を劇的に絞り込んだ植田景子に乾杯。シルヴェスター・リーヴァイと甲斐正人の音楽の力も大きい。もうひとつは「ソルフェリーノの夜明け」。赤十字の父アンリ・デュナンの愛と平和のメッセージをさりげなく描写。それゆえに心に沁みた。作・演出は植田紳爾。

■今年、初演された飜訳ミュージカル
 劇場で殺人事件が起きる「カーテンズ」(詞‥フレッド・エッグ、曲‥ジョン・カンダー)はミュージカルオタクの警部補を演じた東山紀之がとぼけた味で魅せた。結合双生児の運命を綴った「サイド・ショウ」は宝塚出身の貴城けいと樹里咲穂が片時も離れない双子の芸人を演じ印象を残した。1953年のトニー賞「ワンダフルタウン」(曲‥レナード・バーンスタイン)は安蘭けいと大和田美帆が姉妹を演じ好演。閉塞感が漂う日本にはこのおおらかさはカンフル剤か。

■今年の来日ミュージカル
 移民3世代が暮らす街が舞台の「イン・ザ・ハイツ」、2008年のトニー賞作品の来日版だ。ラテン音楽にヒップポップが融合しノリが抜群。最後に「アベニューQ」は2004年トニー賞。日本の文楽のように俳優とパペット(人形)が共演。大人版セサミストリートは観てのお楽しみだ。


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