海の紳士録

千葉県立中央博物館分館 海の博物館

〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
電話 0470-76-1133 FAX 0470-76-1821
午前9時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
休館日 毎週月曜日(ただし月曜日が休日に当たるときは翌日です)


勝浦で見つかった新種 コモレビアカモエビ


勝浦市鵜原島で採集されたコモレビアカモエビ

 2010年の年の瀬も押し迫った12月、甲殻類に関するオランダの学術刊行物に、ひとつの論文が出版された。それは、私とアメリカ人甲殻類研究者の共同研究の成果として、コモレビアカモエビというエビを新種として発表したものである。コモレビアカモエビは、体を縦に走る赤い線がところどころ途切れているため、これを「木漏れ陽」に見立てて命名した。

 このエビの存在を初めて知ったのは、今から約10年前の01年10月、勝浦市鵜原理想郷の目の前にある鵜原島を調査で潜った際に、水深17メートルの岩壁の亀裂に群れていたサラサエビ(本連載第91回に掲載)に混じって見なれないエビがいることに気付いたため、これを採集したことに端を発する。同年12月に同じ場所を潜った時、今度は15メートルの水深の岩壁から、やはりサラサエビに混じっていた同じ種類のエビを採集した。詳細に形態や模様の入り方を調べた結果、モエビ科のアカモエビの仲間だがこれまでに知られていたどの種類にも一致しない種類であることがわかった。博物館には様々な仕事があるため、このエビの論文をなかなか書けないでいたら、01年から05年にかけて、沖縄で同じ種類のエビが別の研究者によって採集されていることがわかった。そして、勝浦と沖縄の標本に基づいて、この種を新種として記載したのが冒頭で触れた論文である。今のところ、勝浦と沖縄の間の海域では見つかっていない。

 アカモエビの仲間はもともと熱帯域に多いグループで、本来の分布域は南の海である。この種類が初めて見つかったのが温帯域の勝浦であることは、この海域が北上する黒潮の影響を強く受けていることと、海の博物館が勝浦に作られ、この海域で調査が進められてきたという二つの要因が重なりあったためであろう。

 (千葉県立中央博物館分館海の博物館 奥野淳兒)


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