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乾海苔の原料となる海藻は紅藻アマノリ属というグループに属する種類である。本欄でも養殖対象であるアサクサノリやスサビノリを紹介した。今回は、アマノリ属の中でも特異な生活史を持つカイガラアマノリを紹介しよう。
生活史とは、生きものが生まれてから死ぬまでの一生の経過を記したものである。アマノリ属の場合、私たちが食べる葉状の体(葉状体)で雌雄の受精が行われ、放出された胞子は葉状体とは形の異なる小さな糸状の体(糸状体)に成長する。そして、糸状体にできた胞子が放出されて、それが再び葉状体に成長する。
しかし、カイガラアマノリでは糸状体から胞子が放出されることはなく、糸状体の一部が、直接葉状体に発達してくる。つまり、葉状体は糸状体から直接出てくるのである。このような特徴を持つノリは世界でもカイガラアマノリのみである。
ノリの糸状体は、普通、アサリなどの貝殻にトンネルのような細長い穴を掘って、その中にもぐり込んですむという、不思議な性質を持つ。カイガラアマノリの場合、葉状体が糸状体から直接出てくるので、葉状体は必ず貝殻から生え、そのためこの名前がある。
東京湾などの内湾の干潟周辺に生えるカイガラアマノリは絶滅危惧種となっている。千葉県内でも数カ所の産地が知られるのみであり、特異な生活史を持つ貴重な種の今後が心配される。
(千葉県立中央博物館分館海の博物館 菊地則雄)
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