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点火すると煙を出しながらにょろにょろ黒い物がのびる、ヘビ玉という花火をご存じだろうか。筆者はオオヘビガイを見ると、このおかしな花火を思い出してしまう。
一般的な巻貝は、その名のとおり螺旋状にくるくる巻いた殻を持っており、種類ごとに概ね決まった形をしている。しかし、オオヘビガイは巻貝らしからぬ姿をしている。直径1センチほどの管状の貝殻は、はじめは巻いているのだが、成長するにつれ、不規則な形になっていく。ゆるくとぐろを巻いたような形が多いが、ほとんど巻いていないものもおり、一つとして同じ形のものはいない。丸い殻の口にはふたがなく、生きている時には軟体部が見える。
巻貝としては珍しく、岩等に固着して生活している。餌をとるために動きまわることのできないオオヘビガイは、粘液の糸を周囲に張り巡らせる。クモの巣のようだが、クモのように獲物を狙っているのではなく、有機物のかす等がくっつくのを待っている。糸に餌がかかると、引き寄せて食べるのである。海水中にはたくさんの細かい有機物が漂っており、「海のスープ」と表現されることもある。オオヘビガイのように固着生活を送る動物でも、餌を集めることができるのである。
磯にはたくさんくらしており、よく観察すれば岩に張り付いたものや、剥がれて打ち上げられた貝殻を見つけることができる。千葉県でヘビ玉のような大きさと形の貝殻を見つけたら、大抵はオオヘビガイであろう。
(千葉県立中央博物館分館海の博物館 村田明久)
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