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テナガエビ科のカクレエビの仲間は、サンゴやイソギンチャク、ウニなどの無脊椎動物と共生する。これらのエビは、共生相手となる無脊椎動物の多さに比例して、熱帯アジアの浅海で種類数・個体数ともに多い。千葉県の沿岸で見られる種類のほとんどは、黒潮によって浮遊幼生期に熱帯域から運ばれてくるもので、多くのカクレエビにとって千葉県は分布の北限にあたる。
ところが、ハクセンアカホシカクレエビという種類は、これまでに千葉県の館山から長崎県の五島列島までの日本の暖温帯域でしか知られていない。このエビは、頭胸甲の後ろ寄りを一周するように細い白線が走り、これが標準和名の由来である。また、第3腹節の背中線が大きく盛り上がっていることも特徴である。アカホシカクレエビのグループに属し、普段は毒性の強いスナイソギンチャクに共生しており、魚が近づくとその体に飛び移って掃除をするクリーナーでもある。本連載の第82回で紹介したオドリカクレエビに形態や生態がよく似ている。
最近の研究によって、フィリピンやニューカレドニアの50~200メートルといったやや深い水深帯では、カクレエビ類の顔ぶれが想像以上に豊かであることが明らかになった。しかも、浅海のものと別の種類が多い。日本を含む北西太平洋一帯では、この水深帯のカクレエビ類相は十分に研究されているとは言い難い。だが、ハクセンアカホシカクレエビは普通水深30~60メートルで観察されているので、今のところ日本沿岸のやや深い水深帯に固有のカクレエビであると考えられる。場所によっては、このエビがダイビングを楽しむ水深20メートル前後にも出現する。県内では、館山市坂田(ばんだ)の地先がそのような海域のひとつである。
(千葉県立中央博物館分館海の博物館 奥野淳兒)
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