日報俳壇 篠崎青童選
富里市 佐藤和子
鉢巻で涙を拭きぬ終戦日
【評】あのカンカン照りの八月十五日、玉音放送を聴いていた少女の勤労奉仕隊が目に浮かぶ。「欲しがりません、勝つまでは」の合言葉で耐え抜いてきて、ほどいた鉢巻きで悔し涙を拭(ふ)いていた。忘れてはならない日だが、あの日があったればこそ今の平和、豊かな平和が訪れたのである。
酒々井町 赤羽剛
絶滅の昭和の虫や源五郎
【評】源五郎も子供のころの遊びの対象であったが、そう言えば見当たらない。源五郎どころか、ミズスマシ、アメンボウ、メダカも居ないし、蛙(カエル)の合唱も珍しくなった。要するに昭和の生物に大変な異常が起きてしまっている。秋の野山も静かになり、虫しぐれは昔の物語になった。さあ、どうしたらいいのか、皆で考えてみよう。
日報柳壇 平井吾風選
東庄町 清水陸夫
改革を競う両国永田町
【評】短い言葉の中に鋭く突いてくるのがまさに川柳といえる。それには何を伝えようとしているのか作者自身が頭の中で端的に整理してから余分な言葉を排除しておくこと…。原句は相撲界の改革と政治改革との今一番重要な部分をウガったものだ。これを聞いてなるほどと思うには読者側にも世間を知っておくという知識、理解力があっての川柳。無駄のないまとめが妙。
野田市 川島一行
スモーカー手持無沙汰の席ばかり
【評】今は何処も禁煙禁煙でスモーカーにとっては我慢も忍耐のうちなのだろう。ついポケットに手を入れそうになり、アッそうかとあらためて気付く連続。原句の手持ち無沙汰(ぶさた)がよく分かる。愛煙家からのウガチが利いてよくまとまっている。
日報歌壇 大島史洋選
市原市若松三重子
若き日に出展せし油絵ながめては奮い立たせるしなびた心を
【評】若き日に描いた油絵の自信作をながめては気力をふるい立たせている作者。この気持ち、よくわかります。
大多喜町鈴木政雄
リハビリに作りしというコスモスの押し花届けてくれし友あり
【評】作者もご高齢ですから、この友人との長い付き合いの様子なども想像される一首です。
日報詩壇 中谷順子選
夕焼けゴリラ
香取市 名上敬子
ランドセルを抱えながら
縁側から見上げる夕焼け空
震えるほどきれいで
でもどこか寂しくて
涙がこぼれた
畑仕事の母さんの手拭いも染まっていたあの日
-ママ
あの森の大きな杉の木に
ゴリラがいるよ-
宿題の手を止め
頬杖ついて空見上げた少年の寂しい心が切り抜いた
-夕焼けゴリラのお母さん
あの日見た空に続く夕焼けに浮かび上がるシルエット
時を超え寂しさが重なる
杉の葉は母の帰りを待つ
子らの寂しさをかき集め
入道雲のように膨らんで
悲しい叫びをあげたような
……気がした
【評】仕事をする母を待つ寂しさ。長い間温めてらしたテーマが夕焼け空に、見事に広がりました。少年の寂しさを受け止める母の情愛が優しく余韻として響きます。
日報学生歌壇 下平武治選
市原市 真浦水紀
学食でたまにはカレー以外をとメニューに迷って結局カレー
【評】いつもカレーを食べている作者がたまにはカレー以外の物を食べようと、意を決してメニューに臨むが結局迷った末にまたカレーになってしまったという。素直な学生らしいよい歌です。
柏市 持丸優
十分間スクールバスを待つ間短いようでとっても長い
【評】スクールバスを待つ間の十分間、短いと思っていたのにとても長く感じたという作者。たった十分、されど十分。使い方しだいでは貴重な時間です。とても長く感じたこの十分を大切にしてください。素直なよい歌です。
■投稿規定
▽俳句、川柳、短歌、学生短歌は、はがきに五句以内。詩は原稿用紙を使用▽はがきには、それぞれ「短歌」「学生短歌」「俳句」「川柳」と記入すること▽作品は毎月第2、第4日曜日の読者文芸欄に掲載します▽作品には投稿者の郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記のうえ、〒260-0013 千葉市中央区中央4-14-10 千葉日報社文化部読者係までお送りください。メールでの投稿は受け付けておりません。