日報俳壇 山中葛子選
八街市 緑川安英
日常をなぎ倒したる春の地震
【評】東日本大地震の影響はいまも続いている。かけがえのない命が津波にのまれていくいたたまれない被災の恐ろしさ。天変地異の余震が揺さぶっている不気味な春なのだ。日常茶飯のありふれた平凡の有り難さ。自然の力にはかなわない人が積み上げてきたもの。救うのも支えるのも人であることの信頼をあらためて思い知らされる。
千葉市 黒川秀夫
地震(ない)去って徒歩三時間春三日月
【評】県内も最大震度六の激しい揺れに襲われた三月十一日。鉄道・道路網がいっせいに麻痺(まひ)状態となって、帰宅や移動が出来なくなった人でごった返した不安な夜がよみがえってくる。頼れるのは自分の身体だけという自力の「徒歩三時間」が想像されてくる。ひとまずは無事に帰宅できた安堵感。春の三日月が救いのよう。
日報柳壇 平井吾風選
東金市 塚瀬智視
スゲの笠踊り上手も様ならず
【評】菅と書いてスゲと読むことから、菅笠とダブらせた辺りの面白み。何かと苦慮している菅総理にはお気の毒だが、原句のアイロニーの利いた巧(うま)いまとめに軍配を上げたい。これも川柳だからこそカラッと言える軽みであり、良さでもある。笑って許せる範囲ではないだろうか…。
成田市 離らっくす
抑圧へもう耐えられぬデモの波
【評】政府軍と反政府軍の戦いといわれるほど…一国に起きたデモが今や戦争化した状態だが、外部からはとやかく言えない。されど民衆の気持ちが痛く伝わる。まとめもシッカリしていてウガチと情味の逸句だ…。
日報歌壇 大島史洋選
多古町 佐藤ゆき
久々に春陽輝き畠打ちす食は進みて眠りも深し
【評】久し振りに春らしい天気となって、畑仕事もはかどった。ご飯もおいしいし、ぐっすりと眠ることもできた。感謝の歌。
君津市 田丸ひさ
久びさに地下足袋履けば外は春池の辺の芹青々として
【評】こちらも春を喜ぶ歌。久しぶりに野に出て、セリを見ている楽しさ。
日報詩壇 中谷順子選
心をはげます
千葉市 西尾征紀
心をはげますことは
生きるちからをつくる
ときには力強い言葉で
心をはげまそう
心はマシュマロ
いつでもやわらかい
やわらかいから
傷つきやすい
いのちの光と影は
くりかえし訪れてくる
ときには優しい言葉で
心をはげまそう
ときには夢のある言葉で
心をはげまそう
心をはげますことは
生きるちからをつくる
【評】東北関東大地震で被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。傷ついた心を励ましあって、生きる力にしていきましょう。日本を復興させましょう。
日報学生歌壇 下平武治選
流山市 倉持琴子
社会人に囲まれ食べるラーメンは学生吾には大人の味が
【評】社会人に混じって食べたラーメンの味が、作者には大人の味がしたという。作者の社会人に対する憧れの気持ちがうまく表現されている歌です。就職難といわれる今日、無事社会人の仲間入りができることを祈っています。
松戸市 吉村侑
漆黒の鎧をまとい闇を舞う我が名はGOKIBURIいざ参る
【評】世の中の多くの人に嫌われているゴキブリもこのように歌に詠まれると可愛らしく愛着すら感じてきます。作者の何とも言えない感性がにじみ出ている歌です。歌に面白さもあります。いいです。
■投稿規定
▽俳句、川柳、短歌、学生短歌は、はがきに五句以内。詩は原稿用紙を使用▽はがきには、それぞれ「短歌」「学生短歌」「俳句」「川柳」と記入すること▽作品は毎月第2、第4日曜日の読者文芸欄に掲載します▽作品には投稿者の郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記のうえ、〒260-0013 千葉市中央区中央4-14-10 千葉日報社文化部読者係までお送りください。メールでの投稿は受け付けておりません。