読者文芸

2009年12月27日


日報俳壇 山中葛子選

香取市 小林美都
陽の色をあたため眠る枯尾花
【評】穂も葉も枯れはてたススキが一面にひろがるやわらかな日差しだ。しかし全体が枯死してしまったわけではなく、地中では親茎の数個の節には太くて短い芽があり、春が来れば次々と茎が立ち伸びて、たちまちのうちに大きな株をつくる繁栄がととのえられているのだ。まさに大自然のたくましさにあやかる枯尾花の「眠る」詩情のあざやかさ。
勝浦市 江澤光惠
小鳥来る向こう三軒同じ姓
【評】おそらく屋号で呼び合っているであろう「同じ姓」のほっとする家並みが見えるようだ。むろん何代も受け継がれてきた土地柄のしきたりや、助け合いの開放的な人情のゆきわたる町にちがいない。燐保制度の単位となった「向う三軒両隣」をふと思う明るさ。いろいろの小鳥が群れをなして渡ってくるにぎわいの秋なのだ。

日報柳壇 平井吾風選

成田市 離らっくす
お受験を突破するため先ずお塾
【評】世間で言う名門校への入学では「お受験」という課程が有り幼稚園児からもう鎬(しのぎ)を削る競争が始まる。そのためにはさらなる前の幼児教育なる三歳辺りからのお受験コース指導で、名門の幼稚園に入るための予備校塾みたいな所が既に有るというから驚きだ。作者もそんなところをウガチたかったのだろう。皮肉の利いたまとめが面白い。
茂原市 福田研治
資産家のゴッドマザーに補填され
【評】何ともうらやましい話も有るもの。されどうんぬんはどうあれ贈与分の納税だけはシッカリやってもらわねば国民に示しがつかないだろう。いつまでも宇宙人では居られまい。原句はウイットが有りタイムリーさが受ける。

日報歌壇 大島史洋選

千葉市 佐藤展子
調理する我が側に立ち味見する九十の母の味覚確かなり
【評】台所で作者のそばに立ち、味見をする九十歳のお母さん。しっかりとしていて、すてきですね。
千葉市 佐藤敬子
母亡きのち日々やすらかにと友のくれし朝顔の花も小さくなりて
【評】朝顔の花を見ながら、友の心づかいをありがたく思っている作者。

日報詩壇 中谷順子選

あやとり
市原市 梶原けい子
秋風の宵には
あやとりをします
日焼けしたゴツゴツ指には
蜘蛛の巣に似た
綾が絡みつきます
綾はもとへは戻らないまま
青ざめた十五夜の芒揺れる
黒屋敷の植込みで生き急ぐ
虫たちの合唱がつづきます
それからしばらくは
雲行きのあやしい時には
指締めつける幾重もの綾を指で迷ったりしながら
やがて
すべての綾が消えたとき
しみついた手垢とか
こみあげる無念の思いとかでちょっぴり重たくなったまあるい輪だけ残りました
【評】
「あやとり」秋宵のあやとりという昔日の風情に引き込まれました。秋の抒情を背景に繰り広げられるあやとり、神との交信さえ感じられる詩です。

日報学生歌壇 下平武治選

松戸市 今井恭子
夕食後ソファーでうたた寝する我に母かけくれし毛布の温もり
【評】うたた寝する作者にそっと掛けてくれた毛布の暖かさと同時にお母さんの温かさを感じた作者。お母さんへの感謝の気持ちが読み取れる歌です。
流山市 玉置裕加
我と君無口な二人は肌で知る幸せ哀しみ互いに想うを
【評】お互い無口な性格ゆえに感情をあまり言葉に出さないのでしょう。しかしそれでも二人はお互いの気持ちが体全体で伝わって来るという。この関係をいつまでも大切にしてください。

■投稿規定
▽俳句、川柳、短歌、学生短歌は、はがきに五句以内。詩は原稿用紙を使用▽はがきには、それぞれ「短歌」「学生短歌」「俳句」「川柳」と記入すること▽作品は毎月第2、第4日曜日の読者文芸欄に掲載します▽作品には投稿者の郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記のうえ、〒260-0013 千葉市中央区中央4-14-10 千葉日報社文化部読者係までお送りください。

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