日報俳壇 篠崎青童選
千葉市 山本美恵
落花生茹でるしばしを雨の音
【評】落花生は千葉県の特産で、特に北総地帯から九十九里にかけて栽培される。食べ方もいろいろで、美味(うま)いので「後引き豆」の異名もある。だが、最近は掘り立てを茹(ゆ)でて食すことに人気があり、それ用の品種も開発された。作者の作五句ともに、茹で落花生の秀作で、素材を一つに絞った手腕は非凡。
勝浦市 斎藤芳恵
秋立つやおのれ励ます独り言
【評】立秋は八月初めだが、まだまだ暑さは続く。寡婦暮らしにはなったが、弱音など吐いてはいられない。これから秋にかけては、まだやることがたくさん残っている。自分を奮い立たせるには他人を頼りにしてはいけない。「しっかりしろよ。負けちゃだめだぞ」と、自分に言い聞かせている。
日報柳壇 平井吾風選
柏市 日下部哲好
ゴキブリが出ると亭主と認められ
【評】ゴキブリと言えば、好きな人はいないだろう。そこへもってご婦人方とくればなおさら、大騒ぎするほど嫌がるもの。そんなときにダンナが出張っていって簡単にゴキブリを退治したなら…さすが男と見直してくれるかもしれない。原句の面白さは、普段がいかに頭の上がらない夫族の一部にいるかという潜みが、笑いで楽しませてくれるところだ。
千葉市 斎藤ハナ子
主治医の眼パソコンばかり見つめてる
【評】診断はパソコンのデータにばかり頼っているお医者も少なくはない。触診したり顔色などもよく診たりする事があまり無いせいか、患者側からすれば、データだけでは不安になる気もする…。原句もきっと、そんな感じになったのか、ウイットが利いたまとめが面白い。
日報歌壇 大島史洋選
八街市 山本美智代
大げさな事はするなと義母言いて九十四歳の誕生日過ぐ
【評】目立ったことの嫌いな、つましい生き方をされてきたお母さんなのでしょうか。作者の、申し訳ないといった気持ちも伝わってくる良い一首です。
千葉市 青木勘一
連日の雨無き猛暑に枯死したる里芋畑に立ちて動けず
【評】一読後、作者の受けた衝撃の強さがひしひしと伝わってきます。
日報詩壇 中谷順子選
待ちに待った
木更津市 高木禅
ようやく秋らしい秋が
あの熱苦しい猛暑括り抜け
生物の生命の尊さを
目の当たりに感じ
ここに改めてその有難さ
期間の巡り合わせに感謝し
秋の多様化満悦して心癒す
味覚、読書、観光目白押し我が家の周囲を眺めても
柿葉、紅葉、銀杏、蔦など
数え上げれば限りなし
数え上げるに暇がない
こうして待ちに待った季節
丸飲みする楽しさ
一年を通して春よりも
万人が秋を好むのは何故か
オオ人々を楽しませる
諸々が秋には備わっている
葡萄、梨、栗、諸々の美よ
秋刀魚、松茸、諸々の美よ柿の実の美よ
【評】今年ほど秋の待たれる日はなかった暑い夏でした。文章力あふれる詩。人々の秋に寄せる思いの深さ。その深さを吸って秋は輝きます。
日報学生歌壇 下平武治選
流山市 島田健人
少しずつリズムの崩れた私生活夏休み以後の修正辛く
【評】学生の作者は長いい夏休みに崩してしまった生活のリズムを取り戻すのに苦労しているという。一度崩れたリズムを取り戻すのはなかなか大変なことです。気持ちがよくわかります。
柏市 竹田恵美子
深夜二時季節外れの蚊と戦闘眠気合わさり不快MAX
【評】夏が過ぎたというのに季節外れの蚊に悩まされ、その退治で寝不足になったという作者。その不快感は経験者しかわからない大変なものでしょう。気持ちの伝わる良い歌です。
■投稿規定
▽俳句、川柳、短歌、学生短歌は、はがきに五句以内。詩は原稿用紙を使用▽はがきには、それぞれ「短歌」「学生短歌」「俳句」「川柳」と記入すること▽作品は毎月第2、第4日曜日の読者文芸欄に掲載します▽作品には投稿者の郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記のうえ、〒260-0013 千葉市中央区中央4-14-10 千葉日報社文化部読者係までお送りください。メールでの投稿は受け付けておりません。